妊娠中に自分でできるケアをきちんとするには、どうすればよいですか?
妊娠が順調に進む可能性を高くするため、妊娠中は定期的に医師の診察を受け、次のことをしましょう:
健康的な食べものを食べる
すすめられている範囲内で体重が増えるようにする―あなたが平均の体重なら、体重の増加が11~16キログラムになるようにする
お酒を飲まない
タバコを吸わず、ほかの人からの煙を避ける
医師が大丈夫という薬やサプリメントだけを飲む
活動的な生活をし、運動をする(ただし人とぶつかるスポーツや危険な活動は避ける)
妊娠中の食事、体重の増加、薬、その他の健康上の問題について質問があれば、医師にたずねましょう。
妊娠中は何を食べればよいですか?
妊娠中、あなたは毎日およそ250カロリーを余分にとる必要があります。この余分なカロリーの大部分は、次のような食べものからのタンパク質でとります:
料理した肉や魚
豆類
ナッツ類
料理した卵
加熱殺菌された牛乳から作られたヨーグルトやチーズ
また、次のものもたくさん食べる必要があります:
果物
野菜
全粒穀物(全粒小麦粉のパンなど)
果物や野菜は食べる前に必ず洗いましょう。
妊娠中に食べたり飲んだりしてはいけないものは何ですか?
次のものを避けてください:
きちんと火がとおっていない、または生の魚介類、卵、肉
無殺菌の牛乳と乳製品
お酒
きちんと加熱されていない、または生の魚介類(寿司)、卵、肉には、あなたや赤ちゃんの具合を悪くする病気があることがあります。
すべてのお酒(ビール、ワイン、蒸留酒)を避けます。妊娠中にお酒を飲むと、胎児性アルコール症候群を引き起こして赤ちゃんの害になることがあります。毎日お酒を飲むことになれている場合や、お酒をやめるのが難しい場合には、医師に相談してください。お酒をたくさん飲んでいる場合には、突然お酒やめるとアルコール離脱症状を引き起こすことがあるため、医師がお酒をやめる方法についてアドバイスしてくれます。
魚の水銀はどうですか?
有毒な金属である水銀は、成長しつつある赤ちゃんに害をおよぼすことがあります。さまざまな種類の魚に水銀が含まれています。魚の種類によっては、ほかの魚よりも多くの水銀が含まれているものもあります。しかし魚には、あなたと赤ちゃんにとって大切なタンパク質やその他の栄養素もたくさん含まれてているため、医師は魚をある程度食べることをすすめます。ただし、水銀があまり含まれていない種類の魚だけを食べるようにします。FDAは、どんな種類の魚を食べればよいかをまとめた表を作っています。
妊娠中にはどれくらい体重が増えてもよいですか?
体重がどれくらい増えてもよいかは、あなたの体のサイズによってちがいます。妊娠中に増えてもよい体重は、ほとんどの女の人でおよそ11~16キログラムです。体重が重い女の人では、増える体重がこれより少し少なくなるようにします。妊娠の第1トリメスター(最初の3カ月間【訳注:日本でいう妊娠初期とほぼ同じ】)では、およそ0.5~1.8キログラムだけ増えるようにしましょう。妊娠の後のほうになると、体重がゆっくり増えるようにするのは難しいことがあります。
あなたの体重が重すぎる場合でも、妊娠中は体重を減らそうとしないでください。赤ちゃんの成長と発達には食べものが必要です。
妊娠中に避けるべきものは何ですか?
妊娠中は、次のものを避けてください:
お酒
タバコを吸うことやタバコの煙のまわりにいること
違法薬物
ネコのトイレとネコのふん
風疹、水痘、帯状疱疹などの一部の感染症にかかっている人
風疹と水痘に対するワクチン
タバコの煙は赤ちゃんに害をおよぼすかもしれません。あなたはタバコを吸うべきではなく、ほかの人の煙を避けるべきです(「受動喫煙」)。
ネコはよくトキソプラズマ症という感染症にかかっています。健康なネコでもかかっていることがあります。ネコのトキソプラズマ症はふんからうつるため、あなたがトイレを交換したり、ネコのふんを掃除したりすることで感染するかもしれません。トキソプラズマ症は子宮の中の赤ちゃんに害をおよぼすかもしれません。そのため、あなたがネコを飼っている場合には、だれかにネコのふんを掃除してもらうか、手袋をして後で手を洗うようにします。
妊娠中に一部の感染症にかかると、赤ちゃんに害がおよぶかもしれません。
妊娠中に薬やサプリメントを飲むべきですか?
妊娠中に薬を飲むことを避けようとするのはよいことです。多くの薬は赤ちゃんに安全ですが、安全ではない薬もあります。薬がどれくらい安全であるかが医師に分からないこともあります。
しかし、高血圧や糖尿病のような赤ちゃんにとって危険な病気もたくさんあります。あなたと赤ちゃんが健康でいられるように、少し危険があったとしても薬を使った方がよいこともあります。あなたの薬や、薬で治療する危険性としない危険性については、医師に相談してください。危険な薬を使っている場合には、たいていは医師がもっと安全な薬に変えることができます。新しい薬やサプリメント(処方せんがなくても買えるものも含む)を飲む前に、医師に確かめましょう。
妊娠中に運動しても安全ですか?
ふつうは妊娠中を通して運動を続け、活動的でいることができます。おなかが大きくなるにつれて、一部の運動は少し変える必要があります。けが(特におなかの)をしないように注意してください。バスケットボールやフットボールなどの人とぶつかるスポーツはしないでください。
妊娠中に性交をしてもいいですか?
妊娠中には性欲が強くなることも、弱くなることもあります。あなたに次のものがある場合を除き、妊娠中に安全に性交できます:
性器出血
おなかの痛み
羊水(胎児のまわりにある液体)がもれ出している
子宮の収縮(赤ちゃんを押し出すために子宮の筋肉がしぼり出すような動きをすること)
妊娠中に旅行してもいいですか?
妊娠中に最も安全に旅行できるのは妊娠14~28週の間です。1日に6時間以上、移動するべきではありません。旅行中は:
シートベルトを着用します―ベルトはおなかの下をとおるようにします。
1時間ごとに脚と足首をストレッチしてのばしましょう。
妊娠36週より後の飛行機での旅行はふつうはすすめられませんが、その大きな理由は、もし出産が始まったら、家から遠くはなれた場所で赤ちゃんを産まなければならない可能性があるからです。