糖尿病は、血液中のブドウ糖の値(血糖値)が高すぎる病気です。血液中のブドウ糖は体のおもなエネルギーのもとです。体はパン、果物、炭酸飲料、パスタなどのあらゆる種類の食べものをブドウ糖に分解します。
ホルモンのインスリンが、血糖値をコントロールします。体に十分なインスリンがない場合や、体がインスリンにきちんと反応していない場合に、血糖値が高くなりすぎます。血糖値が高いと、あなたと赤ちゃんの両方に多くの問題を引き起こします。
妊娠しているときにかかる糖尿病のことを、妊娠糖尿病といいます。妊婦の10人から20人におよそ1人が妊娠糖尿病にかかります。
あなたがすでに糖尿病にかかっている場合は、妊娠中に糖尿病が悪くなることがあります。
妊娠しているときに初めて糖尿病にかかることもあります―このような糖尿病はたいてい、赤ちゃんを出産した後におさまります。
妊娠しているときに糖尿病にかかると、あなたと赤ちゃんに深刻な問題が起こるかもしれません。
医師はすべての妊婦をチェックし、妊娠中に糖尿病にかかっていないかを調べます。
医師は、血糖値が正常近くに保たれるように、注意してあなたの様子を見ます。
妊娠中の糖尿病の原因は何ですか?
次のような場合には、あなたが妊娠糖尿病にかかる可能性が高くなります:
前にかかったことがある
体重が重すぎる
近い家族に糖尿病の人がいる
あなたがアメリカ先住民、太平洋諸島系、メキシコ系、インド系、またはアジア系である
妊娠中の糖尿病はどのような問題を引き起こしますか?
医師はどのようにして、私が妊娠中の糖尿病かどうかを判断しますか?
医師はすべての妊婦に血液検査をして、糖尿病がないか確かめます。多くの医師は、ブドウ糖負荷試験をすすめます。この検査では:
ブドウ糖がたくさん入っているとても糖分が多い飲みものを飲みます。
1時間後、血液のサンプルを取って血糖値を検査します。
血糖値がとても高ければ、あなたは妊娠糖尿病です。
血糖値が少しだけ高い場合は、もう一度、もっとたくさんのブドウ糖が入った飲みものを使って、3時間後に血糖値を測ります。
あなたに糖分の多い飲みものを飲ませずに、医師が血糖値を測るだけのこともあります。この方法はもっと速くて簡単ですが、それほど正確ではありません。
医師は妊娠中の糖尿病をどのように治療しますか?
妊娠の前
あなたが糖尿病で、妊娠を計画している場合には、医師は次のような方法であなたに血糖値をコントロールするよう伝えます:
食事の計画にしたがう(糖分の多い食べものを避け、余分な体重を増やさない)
定期的に運動する
インスリンを使う
妊娠中
医師は、看護師や栄養士と共に医療チームの一員として、あなたに問題が起こる可能性を低くするために取り組むことがあります。このような医療チームは:
あなたの血糖値をできるだけ正常近くに保つようにします。
血糖値計を使って1日に何回か血糖値を調べるようにあなたに伝えます。
血糖値を下げるためにインスリンやほかの薬をあなたに出します。
赤ちゃんの心拍数をはかり、超音波検査をして赤ちゃんの様子を確かめます。
陣痛および分娩のとき
妊娠39週までに陣痛が始まらなければ、医師が薬を使って陣痛を起こすことがあります。
医師はあなたが出産しているときにインスリンを静脈から与えることがあります。
妊娠後
医療チームが注意して赤ちゃんの様子を見て、頻繁に血液検査をします。
妊娠する前にあなたが糖尿病にかかっていた場合には、ふつうは出産の後1週間以内に、使っていたインスリンや薬の量にもどすことができます。
妊娠糖尿病はふつう、出産の後にはおさまりますが、また妊娠するとかかる可能性があり、年をとるにつれてずっと糖尿病が続く可能性が高くなります。