鼓膜は、耳の中にある、うすい膜（皮膚のようなもの）です。鼓膜は太鼓のようにピンと伸ばされていて、そこに音が当たると、ふるえます。そのふるえは、耳の中間部部分と耳の内部に伝わり、神経の信号に変えられます。その神経の信号が脳まで伝わると、音を聞いたことになります。鼓膜はまた、水や汚れが奥に入らないようにして、耳の中にある小さな骨を守っています。
鼓膜穿孔とはどのような病気ですか？
耳の内部
Image provided by Piet van Hasselt, MD.
鼓膜穿孔とは、鼓膜に穴があいた状態のことです。鼓膜破裂ともいいます。
鼓膜穿孔の最も多い原因は、耳の感染症である中耳炎です。
症状としては、耳の突然の痛みのほか、ときには耳からの出血、難聴、耳鳴りなどもみられます。
医師は、手持ち式のライトを使って耳の中を見ることで、鼓膜穿孔を確かめることができます。
ふつう、鼓膜は自然に治ります。
鼓膜穿孔の原因は何ですか？
鼓膜穿孔の原因には次のものがあります：
急な気圧の変化（爆発、耳をたたかれる、水の中にもぐる、飛行機に乗るなど）
耳に物を入れる（綿棒やえんぴつなど）
人はときどき、綿棒やヘアピン、えんぴつなどで耳あかを取ろうとすることがあります。これは、耳あかを耳の奥に押しこんでしまうだけで、しかも鼓膜を傷つける可能性もあるため、やってはいけません。
鼓膜穿孔にはどのような症状がありますか？
症状は穿孔の原因によってちがいます。
穿孔を起こす中耳炎は、実際には中耳炎による痛みを和らげます。中耳炎では、鼓膜の奥に液体やうみがたまるため、痛みがあります。鼓膜に穴（穿孔）があくと、中の液体が外に出て、痛みが軽くなります。
気圧の変化や耳に物を入れたことによって穿孔が起きた場合は、次の症状が現れます：
突然のひどい痛み
ときには少しの出血
鼓膜穿孔にはどのような合併症がありますか？
鼓膜穿孔が起きた後には、合併症や症状が起きないこともあります。しかし、人によっては次の症状が現れます：
難聴
自分が回転したり、動いたりしているような感覚（回転性めまい）
穿孔したところから水や汚れが入ると、耳の感染症になることがあります。
医師はどのようにして、私が鼓膜穿孔かどうかを判断しますか？
医師は、手持ち式のライトを使って耳の中を見ることで、鼓膜穿孔を確かめることができます。医師が聞こえの検査をして、穿孔のせいで、耳が聞こえにくくなっていないか確かめることもあります。
医師は鼓膜穿孔をどのように治療しますか？
耳を乾いたままにしておく必要がありますが、それ以外に治療は必要ないことがあります。多くの場合、穿孔は自然に治ります。
鼓膜が2カ月以内に治らない場合や、耳にひどいけがをした場合は、鼓膜を治すための手術が必要になるかもしれません。
