大腸菌とは何ですか?
大腸菌は細菌の一種で、英語ではE. coliと呼ばれることが多いです。大腸菌(E. coli)には多くの種類があります。一部の種類は、ふだんから人の腸の中に住んでいます。それらの大腸菌(E. coli)が体のほかの部分に入ると、病気になることがあります。ほかの種類の大腸菌が腸の中に入っても、病気になることがあります。
腸の感染症になると、下痢(便が何度も出たり、ゆるかったり、水っぽかったりする)や、おなかの痛みが起きることがあります。
大腸菌は、女の人に起こる膀胱の感染症の最も多い原因です。
ほとんどの大腸菌感染症は抗菌薬で治療できます。
もし血の混じった下痢をしたか、下痢といっしょに発熱もあるもある場合は、すぐに病院に行ってください。
大腸菌感染症の原因は何ですか?
腸の大腸菌感染症には、次のような場合にかかります:
大腸菌が混入した食べものを食べる
大腸菌感染症にかかっている動物にふれる
大腸菌が入っている水を飲む(特に湖、池、川、プールの水)
しっかり火が通っていないと、調理された食べものにも、大腸菌が入っている可能性があります。サラダなどの新鮮な生の食べものにも、汚れた水で洗われていた場合、大腸菌が入っている可能性があります。
ときには、動物とふれあえる動物園で動物にさわることで、大腸菌に感染することもあります。
大腸菌(E. coli)の種類は国によってちがいます。外国に旅行すると、その国によくいる大腸菌(E. coli)のせいで病気になることがあります(旅行者下痢症を読んでください)。
大腸菌O157:H7
大腸菌O157:H7は、 北米でよくみられる大腸菌で、大腸に感染して大腸炎を引き起こすことがあります。大腸炎とは、大腸に炎症と出血が起きる病気です。
大腸菌O157:H7感染症には、ほかの大腸菌感染症と同じ経路で感染します。
大腸菌感染症にはどのような症状がありますか?
現れる症状は、感染が起きた体の部分と、感染した大腸菌の種類によって変わります。
腸の感染症では、次の症状が現れることがあります:
短期間で治まる水っぽい下痢
腹部のけいれん
吐き気と嘔吐
腸の大腸菌O157:H7感染症では、便に血が混じることもあります。
尿路と膀胱の感染症では、次の症状が現れることがあります:
何度も排尿をしたくなる
尿が出るときの痛みや焼けるような感覚
医師はどのようにして、私が大腸菌感染症かどうかを判断しますか?
医師は、あなたの血液、尿、便など、細菌がいそうなもののサンプルをとって、大腸菌がいないか調べる検査をします。医師はそのサンプルを検査室に送ります。検査室ではサンプルを検査して、大腸菌の種類と、その大腸菌を殺せる抗菌薬がどれかを確かめます。
医師は大腸菌感染症をどのように治療しますか?
腸の大腸菌感染症が原因で旅行者下痢症になっている場合、医師はあなたに次のように指示をすることがあります:
水分をたくさん飲む
下痢を軽くするための薬を飲む
下痢がひどい場合は、抗菌薬を飲む
下痢に血が混じっている場合は、医師はあなたに抗菌薬を飲ませないでしょう。
膀胱や尿路など、体のほかの部分の大腸菌感染症では、医師はあなたに次のように指示をします:
抗菌薬を飲む
大腸菌感染症はどうすれば予防できますか?
トイレを使った後や、おむつをかえた後には手を洗う
生肉にさわった後は必ず、手、調理台、まな板、調理用具を洗う
肉を食べるときは、71℃以上の温度で火を通す(ふつうは中がピンク色や赤色ではなく、灰色か茶色になるまで)
殺菌(細菌を殺すために熱を加える処理)がされていない生の牛乳、そのほかの乳製品、ジュースは口にしない
湖、池、川や、プールの水は飲まない
女性の場合は、尿路感染と膀胱感染の予防に役立てるため、トイレでは前から後ろ方向に向かってふき、きつい下着をつけないようにする