ウイルスは、とても小さな生物です。ウイルスは、あまりに小さいので、最も拡大率の高い顕微鏡でしか見ることができません。そのため、微生物と呼ばれています(「微」とは、とても小さいという意味です)。そのほかのよくある微生物として、細菌がありますが、ウイルスは細菌より、はるかに小さいです。
細菌とはちがって、ウイルスは自分で増えることができません。そこで、ウイルスは人の体の中に入りこむと、決まった種類の細胞を乗っ取り、それらの細胞の一部を利用して、自分のコピーを増やします。これにより、ふつうは細胞が傷つき、その細胞は死んでしまいます。しかし、一部のウイルスは、細胞を殺すことなく、その中に長い間とどまることができます。
ウイルスには数千もの種類があります。人に感染するウイルスもありますが、動物だけに感染するウイルスもあります。人と動物の両方に感染できるウイルスは、とても少ないです。
ウイルス感染症とはどのような病気ですか?
ウイルス感染症とは、ウイルスによって引き起こされる病気のことです。
ウイルスは、あなたが空気を吸ったり(例えばCOVID-19を引き起こすウイルス)、性行為をしたり、ウイルスが付いている物にさわったり、蚊やダニなどの虫に刺されたりすることで、体の中に入りこみます。
ウイルスはふつう、1種類の細胞にしか感染しません。たとえば、かぜを引き起こすウイルスは、鼻、口、のどにある細胞だけに感染します。
ウイルスに感染すると、白血球という細胞がウイルスを攻撃しますが、この細胞は、同じウイルスが再び体の中に入ってきたときに、そのウイルスを撃退する方法をおぼえています。
多くのウイルスでは、感染するとすぐに具合が悪くなり、その後、ウイルスはいなくなります。
なかには、体の中にいすわるウイルスもいて(たとえば、HIVやヘルペスウイルス)、その場合は、感染してから長い間、具合の悪い状態が続きます。
抗菌薬は、細菌の感染症を治療するための薬で、これでウイルス感染症を治療することはできません。
一部のウイルスは細胞の働きを変えますが、そのことにより、がんが発生する可能性があります。たとえば、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの感染は、肝臓がんにつながる可能性があります。HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染は、子宮頸がんにつながる可能性があります。
医師はどのようにして、私がウイルス感染症かどうかを判断しますか?
医師は、あなたの症状から、よくある特定のウイルス感染症かどうか分かります。また、医師は次のことをする場合があります:
血液検査
培養検査(医師があなたの体からサンプルを取り、検査室でそのサンプルから微生物を増やして調べる検査)