振戦しんせん

振戦しんせんとは、自分じぶんでは抑おさえられない体からだの一部いちぶのふるえです。

• 振戦しんせんは、手て、頭あたま、声こえを調節ちょうせつする筋肉きんにく、背中せなか、おなか、脚あしなどに起おこります。

• 少すこしの動うごきや軽かるいふるえは、正常せいじょうな現象げんしょうかもしれません（たとえば、手てを伸のばしたままにしていると、少すこしふるえます）。

• 高齢こうれいの人ひとは、振戦しんせんは年としをとるにつれて起おきているだけだと考かんがえているかもしれませんが、何なにか深刻しんこくな病気びょうきの徴候ちょうこうかもしれませんので、医師いしに調しらべてもらう必要ひつようがあります。

• パーキンソン病びょうや、甲状腺こうじょうせんの活動かつどうが活発かっぱつすぎる状態じょうたい（甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょう）は、一部いちぶの振戦しんせんの原因げんいんになることがあります。

• 特定とくていの薬くすりを飲のんだり、飲のむのをやめたり、お酒さけを飲のむのをやめたり（アルコールの離脱症状りだつしょうじょう）、ストレスを感かんじたりすると、振戦しんせんが起おこることがあります。

• 振戦しんせんは、動うごいているときでも、休やすんでいるときでも、起おこることがあります。

• 特定とくていの種類しゅるいの振戦しんせんは、起おきやすい体質たいしつが家族かぞくの中なかで受うけつがれることがあります。

もし振戦しんせんのほかにも、次つぎの注意ちゅういすべき徴候ちょうこうが1つでもある場合ばあいは、すぐに病院びょういんに行いってください：

• 振戦しんせんが突然とつぜん始はじまった

• 思考しこうの変化へんか

• 筋肉きんにくに力ちからが入はいらない

• 歩あるき方かたの変化へんか

• 話はなしをするのが難むずかしい

• イライラしたり、取とり乱みだしたり（激越げきえつ）する

振戦しんせんがあるものの、注意ちゅういすべき徴候ちょうこうがない場合ばあいは、特とくに次つぎのことに当あてはまるなら、1～2週間しゅうかん以内いないに病院びょういんに行いってください：

• 50才さい未満みまんである

• 家族かぞくの家族歴かぞくれきがない

振戦しんせんは、正常せいじょうなものもあれば、異常いじょうなものもあります。いろいろな病気びょうきが振戦しんせんを引ひき起おこします。

振戦しんせんは次つぎのようなときに起おこります：

• 手てを伸のばしたままにしているとき（少すこしだけ動うごくのは正常せいじょうです）

• ストレスや不安ふあん、疲つかれを感かんじているとき

• お酒さけを飲のむのをやめたとき

• オピオイドやベンゾジアゼピンなど、特定とくていの薬くすりを飲のむのをやめたとき

• サルブタモール、コルチコステロイド、コカインなど、特定とくていの薬くすりを使つかったとき

• チョコレート、ソーダ、コーヒーなどの食たべものや飲のみものに含ふくまれる、カフェインを食たべたり飲のんだりしたとき

振戦しんせんのより深刻しんこくな原因げんいんには次つぎのものがります：

• なりやすい体質たいしつが家族かぞくの中なかで受うけつがれることがよくある神経しんけいの働はたらきの異常いじょう（本態性振戦ほんたいせいしんせんといいます）

• パーキンソン病びょう（ふつうは休やすんでいるときに振戦しんせんを起おこします）

• 脳卒中のうそっちゅう

• 多発性硬化症たはつせいこうかしょう

• 小脳しょうのうという脳のうの一部いちぶの異常いじょう

何なにかに手てを伸のばしたときなどに起おこる振戦しんせんは、企図振戦きとしんせんといいます。この種類しゅるいの振戦しんせんは、脳卒中のうそっちゅう、多発性硬化症たはつせいこうかしょう、そのほかの脳のうの異常いじょうで起おこることがあります。

医師いしは次つぎのことをします：

• あなたの症状しょうじょうと病歴びょうれきについて質問しつもんする

• 診察しんさつをする

次つぎの場合ばあい、医師いしはMRI検査けんさやCT検査けんさなどの脳のうの画像検査がぞうけんさをすることがあります：

• 思考しこうの変化へんか、話はなしをするのが難むずかしい、筋肉きんにくに力ちからが入はいらないなど、脳のうに関係かんけいする注意ちゅういすべき徴候ちょうこうがある場合ばあい

• 振戦しんせんが突然とつぜん始はじまったり、急速きゅうそくに悪化あっかしたりする場合ばあい

医師いしは、血糖値けっとうちを調しらべたり、甲状腺こうじょうせん、肝臓かんぞう、腎臓じんぞうが正常せいじょうに働はたらいているかどうかを調しらべたりするために血液検査けつえきけんさをすることがあります。これらの検査けんさは、振戦しんせんの原因げんいんを見みつけるのに役立やくだつことがあります。

医師いしは、振戦しんせんの原因げんいんを治療ちりょうします。振戦しんせんを引ひき起おこすことがある薬くすりをあなたが飲のんでいる場合ばあい、医師いしがその薬くすりの量りょうを調整ちょうせいできる可能性かのうせいがあります。

振戦しんせんが軽かるい場合ばあいは、治療ちりょうが必要ひつようないこともあります。次つぎのようないくつかの簡単かんたんな行動こうどうが役立やくだつことがあります：

• ものをしっかりつかんで、落おとさないように体からだの近ちかくで持もつ

• 無理むりな姿勢しせいを取とらないようにする

• マジックテープ、ストロー、持もつところが大おおきいスプーンやフォークなどの補助器具ほじょきぐを使つかう

振戦しんせんを起おこさないようにするには：

• カフェインをとらないようにする（コーヒー、ソーダ、チョコレート、お茶ちゃに含ふくまれる）

• 夜よるは少すくなくとも7時間じかんは眠ねむる

• できるだけストレスを減へらす

ベータ遮断薬しゃだんやく、抗こうてんかん薬やく、鎮静薬ちんせいやくなど、症状しょうじょうを軽かるくする薬くすりを飲のむことについては医師いしに相談そうだんしてください。

何なにかに手てを伸のばしたときに振戦しんせんが起おこる場合ばあいは、次つぎのようにするとよいでしょう：

• 理学療法士りがくりょうほうしと協力きょうりょくして、振戦しんせんを抑おさえるための重おもりを手首てくびに付つける

• 手てを伸のばしている間あいだは腕うでをしっかりと支ささえる

歩あるくときに振戦しんせんが起おこる場合ばあいは、足首あしくびに重おもりを付つけると、脚あしが安定あんていするかもしれません。