脊髄とは何ですか?
脊髄は、神経でできている長い管で、脳から出て、脊椎の中心にある空洞を通って、背中を下の方にのびています。
脊髄は、脳と体のほかの部分を行き来する信号が伝わる、電気ケーブルのようなものです。
脳が頭蓋骨によって守られているのと同じように、とても傷つきやすい脊髄は脊椎によって守られています。
脊髄は、腕や脚を動かすなど、脳から体に何をするか命令する信号を伝えます。
脊髄はまた、その人が何にさわっているかや、どこに痛みがあるかなど、体の各部から脳に向かう信号も伝えます。
反射(熱いストーブにさわって手を引っこめるなど)は、脳が関わることなく脊髄で起こります。
脊髄が傷つくと、ふつうは体の一部を動かせなくなったり、体の一部の感覚がなくなったりします。
脊髄はどのような仕組みで働いていますか?
脳の神経細胞は、下にある脊髄に向かって信号を送ります。脊髄にあるほかの神経がこの信号を受け取り、脊髄の神経を通してそれを全身に送ります。
脊髄の神経細胞には、全身にはりめぐらされていて、感覚受容器につながっている神経線維があります。たとえば皮膚には、何かにふれている感覚や痛みを感じ取る感覚受容器があります。針でつつかれるなど、そうした受容器を作動させる出来事があると、信号が神経線維を通って脊髄に送られます。その信号を脊髄にあるほかの神経細胞が脳に伝え、そこで初めて、あなたは痛みを感じます。
脊髄神経とは何ですか?
脊髄神経は、脊髄と体のさまざまな部分に向かう細い神経をつないでいる、中くらいの太さの神経です。椎骨と椎骨の間のすき間には、脊髄に出入りする31対の脊髄神経があります。
それぞれの脊髄神経は、脊髄の決まった場所から、全身の決まった場所へとのびています。そのため、たとえば、あなたが皮膚のある場所をさわると、そこに対応する脊髄神経から脳に信号が伝わることで、あなたはそこをさわったと感じることができます。
脊髄にはどのような問題が起こりますか?
脊髄は、次のような多くの問題によって影響を受けます:
けが
脊椎に広がったがんが脊髄を圧迫して傷つけることがある
多発性硬化症や血液の流れが止まるなど、病気によって脊髄の神経細胞が減ってしまう
脳や脊髄の神経細胞が死んでしまうと、ふたたび増えることができません。そのため、脊髄の傷はいつまでも治らないのがふつうです。
脊髄が傷ついている場合、現れる症状は、脊髄の傷ついている場所によって変わります。たとえば、腰の位置で脊髄が傷つくと、脚が動かせなくなったり、脚の感覚がなくなったりすることがありますが、その場合、腕はふつうに使えます。しかし、首の位置で脊髄が傷つくと、腕と脚の両方に異常が起きることがあります。首の高い位置で脊髄が傷つくと、呼吸ができなくなることがあります。脊髄のどの部分が傷ついたかに関係なく、排尿や排便をがまんできなくなったり、性的な機能が失われたりすることがあります。