好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)

(チャーグ-ストラウス症候群)

執筆者:Alexandra Villa-Forte, MD, MPH, Cleveland Clinic
Reviewed ByBrian F. Mandell, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 12月
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好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は,全身性の小型および中型の血管の壊死性血管炎であり,血管外肉芽腫の存在,好酸球増多,および好酸球の組織浸潤を特徴とする。EGPAは,成人発症喘息,アレルギー性鼻炎,鼻茸,またはこれらの組合せがみられる個人に生じる。診断は生検によるものが最も確実である。治療は主にコルチコステロイドと他の免疫抑制薬の併用による。

血管炎の概要も参照のこと。)

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は,研究対象集団に依存するが,100万人当たり最大20人に発生する(1)。好発年齢は40歳から50歳までの間にある。

EGPAは,血管外の壊死性肉芽腫(通常,好酸球に富む),好酸球増多,および好酸球の組織浸潤を特徴とする。しかし,これらの異常は常に併存するとは限らない。この血管炎は,通常は小型および中型の血管を侵す。どの器官も侵されることがあるが,肺,皮膚,副鼻腔,心血管系,腎臓,末梢神経系,中枢神経系,関節,および消化管が最も侵されやすい。まれに,肺毛細血管炎が肺胞出血を起こすことがある。

総論の参考文献

  1. 1.Mohammad AJ.An update on the epidemiology of ANCA-associated vasculitis. Rheumatology (Oxford) 2020;59(Suppl 3):iii42-iii50.doi:10.1093/rheumatology/keaa089

EGPAの病因

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の原因は不明である。しかし,好酸球と好中球の分解産物によって直接傷害された組織を伴うアレルギー機序が関与している可能性がある。Tリンパ球の活性化が好酸球性炎症の持続に一役担っていると考えられる。この症候群は,成人発症喘息アレルギー性鼻炎鼻茸,またはこれらの組合せがみられる患者に生じる。抗好中球細胞質抗体(ANCA)が30~40%の症例にみられる(1)。

病因論に関する参考文献

  1. 1.Moiseev S, Bossuyt X, Arimura Y, et al.International Consensus on ANCA Testing in Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis. Am J Respir Crit Care Med Published online June 25, 2020.doi:10.1164/rccm.202005-1628SO

EGPAの症状と徴候

症候群には以下の3段階の病期があり,これらは重複することもある:

  • 前駆期(prodromal):この病期は数年間持続することがある。アレルギー性鼻炎,鼻茸,喘息,またはこれらの組合せがみられる。

  • 好酸球増多期(osinophilic phase):末梢血および組織で好酸球増多が典型的にみられる。臨床像はレフレル症候群に類似することがあるが,具体的には慢性好酸球性肺炎や好酸球性胃腸炎などを呈する。

  • 血管炎期(vasculitic phase):生命を脅かす可能性がある血管炎が発生する。この病期には,臓器機能不全と全身症状(例,発熱,倦怠感,体重減少,疲労感)がよくみられる。

これらの病期は必ずしも連続せず,それぞれの合間の期間にも大きなばらつきがある。

様々な臓器や器官が影響を受けることがある:

  • 呼吸器:喘息は,成人期に発症することが多いが,大半の患者で発生し,重度である傾向があり,コルチコステロイド依存性である。副鼻腔炎がよくみられるが,重度の壊死性炎症は伴わず,破壊的ではない。患者に息切れがみられることがある。一過性の斑状の肺浸潤が一般的である。

  • 神経:神経症状がかなり頻繁にみられる。多発性単神経障害(多発性単神経炎)が最多で4分の3の患者に生じる。中枢神経系障害はまれであるが,脳神経麻痺もしくは脳梗塞所見を伴うまたは伴わない,不全片麻痺,錯乱,痙攣,および昏睡などが起こることがある。

  • 皮膚:約半数の患者で皮膚が侵される。結節および丘疹が四肢の伸側にみられる。これらは,中心に壊死を伴う柵状配列を有する血管外の肉芽腫性病変によって引き起こされる。著明な好酸球浸潤を伴うまたは伴わない白血球破砕性血管炎により,紫斑もしくは紅色丘疹が出現することがある。

  • 筋骨格:関節痛,筋肉痛,または関節炎すらも生じることがある。

  • 心臓:心病変は死亡の主な原因であり,心筋炎および心内膜心筋線維症による心不全,冠動脈の血管炎(心筋梗塞を伴うこともある),弁膜症,心膜炎などが発生する。主な病理組織学所見は,好酸球性心筋炎である。

  • 消化管:血管炎に起因する好酸球性胃腸炎または腸間膜虚血により,最多で3分の1の患者に消化管症状(例,腹痛,下痢,出血,無石胆嚢炎)がみられる。

  • 腎臓:腎臓が侵される頻度は,抗好中球細胞質抗体関連の他の血管炎疾患に比べ,それほど多くはない。通常は,pauci-immune(微量免疫)型(免疫複合体があったとしてもわずか)で,半月体形成性の巣状分節状壊死性糸球体腎炎がみられるが,腎臓の好酸球性または肉芽腫性の炎症はまれである。

腎臓,心臓,または神経の障害は,予後不良を示唆する。

EGPAの診断

  • 臨床基準

  • ルーチンの臨床検査

  • 心エコー検査

  • 生検

2012年のChapel Hill Consensus Conference(1)において,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は,喘息および好酸球増多に関連した小型および中型血管の壊死性血管炎が気道に発生する,好酸球に富む壊死性肉芽腫性炎症を本態とする病態と定義された。2022年にAmerican College of Rheumatology/European Alliance of Associations for Rheumatology(EULAR)により改定された診断基準は,以下の要素で構成されている(2):

  • 喘息(+3点)

  • 鼻茸(+3点)

  • 多発性単神経炎または多発神経障害(+1点)

  • 末梢血の好酸球増多(10%を超える)(+5点)

  • 血管外に好酸球を認める血管炎の組織学的所見(+2点)

  • 細胞質性抗好中球細胞質抗体(cANCA)または抗プロテアーゼ3抗体の高値(-3点)

  • 血尿(-1点)

スコアが6以上の場合,感度は85%,特異度は99%となる。

検査では,診断および臓器病変の範囲を確定し,EGPAを他の好酸球性疾患(例,寄生虫感染症薬物反応急性好酸球性肺炎慢性好酸球性肺炎アレルギー性気管支肺アスペルギルス症好酸球増多症候群)と鑑別することを目標とする。EGPAの診断は,臨床所見およびルーチンの臨床検査結果によって示唆されるが,通常は肺または他の罹患組織の生検によって確定すべきである。

血液検査と胸部X線を行うが,結果は診断に有用ではない。血算と白血球分画を行い,一部の患者で疾患活動性の指標になることがある好酸球増多がないか確認する。IgEおよびC反応性タンパク(CRP)および赤血球沈降速度(赤沈)を定期的に測定して,炎症の活動性を評価する。腎疾患のスクリーニングおよびその重症度をモニタリングするため,尿沈渣を含めた尿検査とクレアチニンの測定を行う。電解質濃度を測定する。

血清学的検査を行い,これにより最多で35%の患者に抗好中球細胞質抗体(ANCA)が検出され,ANCAが検出された場合には,酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で特異抗体の有無を確認する。ミエロペルオキシダーゼに対する抗体を伴う核周囲ANCA(p-ANCA)が最も多くみられるが,ANCAはEGPAに対して特異的ではなく感度の高い検査でもない。

疾患活動性のマーカーとして用いられているが,好酸球増多,IgE,ANCA,赤沈,およびC反応性タンパク(CRP)の値によってこれが達成され,急性増悪(flare-up)が予測されるが,大きな制限がある。

胸部X線は一過性で斑状の肺浸潤像を示すことが多い。

全例で2次元心エコー検査をベースライン時点に行い,心不全の症状または徴候が生じた場合にも,時間の経過につれて繰り返し行うべきである。

可能であれば,最も到達しやすい罹患組織の生検を行うべきである。

診断に関する参考文献

  1. 1.Jennette JC, Falk RJ, Bacon PA, et al: 2012 Revised International Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides.Arthritis Rheum 65(1):1-11, 2013.doi: 10.1002/art.37715

  2. 2.Grayson PC, Ponte C, Suppiah R, et al: 2022 American College of Rheumatology/European Alliance of Associations for Rheumatology Classification Criteria for Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis. Ann Rheum Dis 81(3):309–314, 2022.doi:10.1136/annrheumdis-2021-221794

EGPAの治療

  • コルチコステロイド

  • その他の免疫抑制薬(例,リツキシマブ,シクロホスファミド,メポリズマブ)

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)では,予後不良因子がなくてもコルチコステロイド単独では寛解が維持されないことが多いため,コルチコステロイドの全身投与と免疫抑制薬の併用が治療の中心である。他の免疫抑制薬(例,シクロホスファミド,リツキシマブ,メトトレキサート,アザチオプリン)を追加する。免疫抑制薬の選択は,多発血管炎性肉芽腫症または顕微鏡的多発血管炎に対するものと同様の一般的な治療基準を用い,臓器病変の重症度と病型に応じて行う。リツキシマブによる治療を受けたEGPA患者41例の後ろ向き研究では,49%が12カ月時点で寛解状態にあり,リツキシマブによってコルチコステロイドの必要性が減少した(1)。この結果は,他の治療法に比べて優れている。

心病変の治療にはシクロホスファミドが望ましい(2)。心不全を伴う心筋炎によって示される心病変が,EGPAにおける主な死因である。

抗IL-5モノクローナル抗体であるメポリズマブは,臓器症状や生命を脅かす症状がみられないEGPA患者において再燃率を低下させることが示されている(3)。その便益は主に上気道および下気道(活動性の喘息を含む)で認められた。心疾患などの重度の臨床像を呈する患者では,メポリズマブの効果は不明である。別の抗IL-5受容体モノクローナル抗体であるベンラリズマブは,疾患寛解率においてメポリズマブに劣らないことが示されており,コルチコステロイドの長期使用を減少させる(4)。

治療に関する参考文献

  1. 1.Mohammad AJ, Hot A, Arndt F, et al: Rituximab for the treatment of eosinophilic granulomatosis with polyangiitis (Churg-Strauss). Ann Rheum Dis 75(2):396-401, 2016.doi:10.1136/annrheumdis-2014-206095

  2. 2.Chung SA, Langford CA, Maz M, et al: 2021 American College of Rheumatology/Vasculitis Foundation Guideline for the Management of Antineutrophil Cytoplasmic Antibody-Associated Vasculitis. Arthritis Rheumatol 73(8):1366-1383, 2021.doi:10.1002/art.41773

  3. 3.Wechsler ME, Akuthota P, Jayne D, et al: Mepolizumab or placebo for eosinophilic granulomatosis with polyangiitis. N Engl J Med 376(20):1921-1932, 2017.doi:10.1056/NEJMoa1702079

  4. 4.Wechsler ME, Nair P, Terrier B, et al: Benralizumab versus Mepolizumab for Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis. N Engl J Med 390(10):911-921, 2024.doi:10.1056/NEJMoa2311155

要点

  • 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は,小型および中型血管に血管炎が生じるまれな疾患である。

  • 病期には,上気道症状および喘鳴,好酸球性の肺炎および胃腸炎,および生命を脅かす血管炎がある。

  • 病期は特定の順序に沿って進むとは限らず,また重複することもある。

  • 心臓または神経が侵されることがあり,それらは予後不良を示唆する。

  • 臨床基準,ルーチンの臨床検査,ときに生検によって診断する。

  • 全例で2次元心エコー検査を行う。

  • 重症度に応じてコルチコステロイドおよび他の免疫抑制薬で治療し,多発血管炎性肉芽腫症または顕微鏡的多発血管炎に対するものと同様の治療基準を用いる。

  • 反応率が高くコルチコステロイドの必要性が低くなる可能性があるため,リツキシマブによる治療を考慮する。

  • 上気道または下気道症状が優勢であるが,臓器機能を脅かす症状はみられない患者では,抗インターロイキン5(IL-5)または抗IL-5受容体抗体(例,メポリズマブ,ベンラリズマブ)の使用を考慮する。

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