眼瞼腫脹の主な原因

原因

示唆する所見

診断アプローチ

眼瞼疾患

局所アレルギー反応

そう痒,痛みなし

片側または両側の眼瞼,結膜,またはその両方の蒼白化および膨張

ときに再発,アレルゲンへの曝露,またはその両方の既往

片側性または両側性

臨床的評価

眼瞼炎

睫毛にかかる病変および痂皮,通常肉眼または拡大下(例,細隙灯顕微鏡による)で観察可能

そう痒,灼熱感,発赤,潰瘍,またはこれらの組合せ

ときに脂漏性皮膚炎の合併

片側性または両側性

臨床的評価

霰粒腫

片側の眼瞼のみを侵す局所的発赤および疼痛

局所的な無痛性の腫脹が,最終的には眼瞼縁を超えて生じる

臨床的評価

感染性結膜炎

結膜充血,眼脂

ときに耳前リンパ節の腫脹,結膜浮腫,またはその両方

片側性または両側性

臨床的評価,通常単純ヘルペス角結膜炎を除外するためにフルオレセイン染色を行う

単純ヘルペス眼瞼炎(原発性)

紅斑上に集簇する小水疱,潰瘍,重度の疼痛

片側性

臨床的評価

帯状疱疹

紅斑上に集簇する小水疱,潰瘍,重度の疼痛

片側性,V1神経根領域

臨床的評価

麦粒腫

片側の眼瞼のみを侵す局所的な発赤および疼痛

眼瞼縁に限局した腫脹が最終的に発生し,ときに膿疱を伴う

臨床的評価

昆虫刺咬

そう痒,発赤,ときに丘疹

臨床的評価

眼窩内および周辺の疾患

海綿静脈洞血栓症(まれ)

頭痛,眼球突出,眼筋麻痺,眼瞼下垂,視力低下,発熱

初期は通常片側性,その後両側性となる

副鼻腔炎またはその他の顔面感染症の症候

緊急で脳および眼窩のCTまたはMRIが必要である。

眼窩蜂窩織炎

眼球突出,発赤,発熱,疼痛

外眼筋運動の障害または外眼筋運動による痛み

ときに視力低下

通常片側性

ときに原因感染症(典型的に副鼻腔炎)の症候が先行する

眼窩のCTまたはMRI

眼窩隔膜前蜂窩織炎(眼窩周囲蜂窩織炎)

腫脹(しかし眼球突出はない),発赤,ときに疼痛,発熱

通常片側性

視覚および眼球運動は正常

ときに原因感染症(典型的に局所皮膚感染症)の症候が先行する

眼窩蜂窩織炎を除外する必要がある場合,眼窩のCTまたはMRI

全身性疾患*

全身性アレルギー反応(例,血管性浮腫,鼻炎)

そう痒

ときに眼外のアレルギー性の症候(例,蕁麻疹,喘鳴,鼻漏)

ときに再発,アレルゲンへの曝露,アトピー,またはこれらの複合の既往

通常両側性

臨床的評価

全身性浮腫

両側性の症状を伴わない眼瞼浮腫およびときに顔面浮腫;通常は重力のかかる部位(例,脚,仙骨前領域)の浮腫

通常は基礎疾患(例,慢性腎臓病,心不全,肝不全,妊娠高血圧腎症)の症状として

ときにアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の使用

臨床状況に応じて心,肝,または腎疾患の検査

甲状腺機能亢進症(バセドウ眼症を伴う)

凝視,眼瞼遅滞(eyelid lag),眼球突出,外眼筋運動障害

乾燥により角膜が刺激されない限り痛みはない

頻脈,不安,体重減少

甲状腺機能検査(TSH,T4)

甲状腺機能低下症

無痛性,両側性びまん性顔面腫脹

皮膚の乾燥と鱗屑;粗造な毛髪

耐寒性低下

甲状腺機能検査(TSH,T4)

*全身性疾患による腫脹は両側性で紅斑を伴わない。

T4 = サイロキシン;TSH = 甲状腺刺激ホルモン;V1 = 三叉神経眼枝。

関連するトピック