歯痛の主な原因

原因

示唆する所見

診断アプローチ*

根尖膿瘍

持続性の疼痛があり咀嚼または咬合時に悪化する

通常,患者は原因歯を正確に指し示すことができる

打診痛がある(金属のプローブまたは舌圧子で軽く叩く)

ときに侵された歯根上の粘膜に視認できる波動性腫脹,隣接する頬および/または口唇に有痛の腫脹を認める

歯科的評価

根尖性歯周炎

症状と所見は根尖膿瘍に類似するが,より軽度であり根尖部の腫脹を伴わない

歯科的評価

齲蝕(象牙質知覚過敏)

刺激後の疼痛(例,熱,冷感,甘い飲食物,歯磨き)

疼痛は1本の歯に限局し,通常刺激がなくなると解消する

通常,視認できる齲蝕病変または歯肉退縮もしくは磨耗による露出根面がみられる

歯科的評価

生活歯歯冠部の不完全破折

咀嚼圧から開放されるときの鋭い痛み

冷感に対する著明な過敏性

歯科的評価

不可逆性歯髄炎

刺激によらない疼痛,刺激により誘発される疼痛,またはその両方

ときに原因歯の同定は難しい

歯科的評価

第3大臼歯(智歯)の萌出または不完全埋伏によって起こる歯冠周囲炎

持続的な鈍痛,特に咀嚼時

下顎智歯周囲の炎症,ときに排膿を伴う

開口傷害が起こり開口が制限される場合がある

歯科的評価

外傷による歯髄損傷

歯牙変色(ときに外傷後長い年月を経て起こる)

根尖膿瘍に至ることがある

歯科的評価

可逆性歯髄炎(reversible pulpitis)

齲蝕に似ているが原因歯の同定が困難である

歯科的評価

副鼻腔炎

多くの上顎臼歯(例,大臼歯,小臼歯)が咀嚼時または打診に対して過敏になる

姿勢の変化,特に頭部を下げる時(例,靴の紐を結ぶとき)に生じる疼痛

しばしば鼻汁および侵された副鼻腔上の打診に対しての圧痛

副鼻腔CT

副鼻腔炎がみられなければ,歯科的評価

歯牙萌出

幼児の歯の萌出中の不快感とそのむずかり

流涎がよくみられ,物を噛む(例,ベビーベッドの柵)

臨床的評価

垂直歯根破折

歯が動揺し,触ることに対して非常に敏感になる

孤立した深いプロービングポケットデプス

X線で特徴的な「J」の外観を呈する所見

歯科的評価

*歯科的評価は診察のために歯科医師への紹介が必要であり,通常歯科用X線写真を要する。

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