抗マラリア薬の有害反応および禁忌

薬剤

主な有害反応

禁忌

アルテメテル/ルメファントリン

頭痛,食欲不振,めまい,無力症(通常は軽度)

ルメファントリンではQT延長

アルテメテル/ルメファントリンに対するアレルギー

妊娠中は,ベネフィットが胎児へのリスクを上回ると考えられる場合に使用されるが,これは通常,妊娠の第2および第3トリメスターのほか,おそらく第1トリメスターにも当てはまる。

メフロキンの予防投与

アルテスナート(artesunate)

アルテメテルと同じ

遅発性溶血;治療後4週間にわたりヘモグロビン値をモニタリングすべきである

アルテスナート(artesunate)に対するアレルギー

妊娠中は,ベネフィットが胎児へのリスクを上回ると考えられる場合に使用されるが,これは注射剤による治療を必要とする大半のマラリア重症例に当てはまる。

アトバコン/プログアニル

消化管障害,頭痛,めまい,発疹,そう痒

妊娠中は,ほかに選択肢がなく,潜在的なベネフィットが胎児への潜在的なリスクを上回る場合にのみ使用する

過敏症,授乳*,重度の腎障害(クレアチニンクリアランスが30mL/min未満)

クロロキン

ヒドロキシクロロキン

消化管障害,頭痛,めまい,霧視,発疹またはそう痒,乾癬の増悪,血液疾患,脱毛,心電図変化(QTc間隔延長など),網膜症,精神症症状(まれ)

過敏症,網膜変化,視野変化または薬物相互作用によるQTc間隔延長および不整脈

クリンダマイシン

低血圧,骨髄毒性,腎機能障害,発疹,黄疸,耳鳴,Clostridium difficile感染症(偽膜性大腸炎)

過敏症

ドキシサイクリン

消化管不調,光線過敏症,腟カンジダ症,C. difficile感染症(偽膜性大腸炎),びらん性食道炎

妊婦,8歳未満の小児

ハロファントリン

PR間隔およびQT間隔の延長,不整脈,低血圧,消化管障害,めまい,精神状態変化,痙攣発作,突然死

妊娠中は,潜在的なベネフィットが胎児への潜在的なリスクを上回る場合にのみ使用する

心筋伝導障害,家族性QT延長,QT間隔に影響する薬剤の使用,過敏症

メフロキン

悪夢,精神神経症状,浮動性めまい,回転性めまい,錯乱,精神症症状,痙攣発作,洞徐脈,消化管障害

過敏症,痙攣発作または精神疾患の病歴,心筋伝導障害または不整脈,心筋伝導を延長させうる薬剤の併用(例,β遮断薬,カルシウム拮抗薬,キニーネ,キニジン,ハロファントリン),巧緻協調運動および空間認識を要する職業,めまいが生命の危険につながる職業,妊娠第1トリメスター

キニーネ

消化管障害,耳鳴,視覚障害,アレルギー反応,精神状態変化,不整脈,心毒性

過敏症,G6PD欠損症,視神経炎,耳鳴,妊娠(相対的禁忌),キニーネによる過去の有害反応(心電図,血圧[静脈内投与時],および血糖値の継続的なモニタリングが推奨される)

キニジン

不整脈,QRS波の拡大,QTc間隔延長,低血圧,低血糖

過敏症,血小板減少(心電図,血圧,および血糖値の継続的なモニタリングが推奨される)

48時間以内に40mg/kgを超えるキニーネを投与された患者または12時間以内にメフロキンを投与された患者には,負荷投与なし

プリマキン

G6PD欠損症患者での重度の血管内溶血,消化管障害,白血球減少,メトヘモグロビン尿症

キナクリンまたは溶血を引き起こしうるもしくは骨髄抑制作用のある薬剤の併用投与,G6PD欠損症,妊娠(胎児のG6PDの状態が不明であるため)

ピリメタミン/スルファドキシン

多形紅斑,スティーブンス-ジョンソン症候群,中毒性表皮壊死融解症,蕁麻疹,剥脱性皮膚炎,血清病,肝炎,痙攣発作,精神状態変化,消化管障害,口内炎,膵炎,骨髄毒性,溶血,発熱,ネフローゼ

過敏症,葉酸欠乏性貧血,生後2カ月以下の乳児,妊娠,授乳

タフェノキン(tafenoquine)

G6PD欠損症,精神神経系有害反応,メトヘモグロビン血症,消化管障害,または過敏反応がある患者における重度の血管内溶血

G6PD欠損症,妊娠(胎児のG6PDの状態が不明であるため),授乳(新生児のG6PD値が正常であることがわかっている場合を除く),精神症,既知の過敏症

16歳以上の患者

*プログアニルはヒト乳汁中に排泄される;アトバコンがヒト乳汁中に排泄されるかどうかは不明である。これらの薬剤の安全性および有効性は,体重5kg未満の小児では確立されていない。

G6PD = グルコース-6-リン酸脱水素酵素。

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