急性細菌性髄膜炎に対する特異的な抗菌薬

細菌

年齢層

抗菌薬*

備考

グラム陽性細菌(不明)

小児および成人

バンコマイシン

セフトリアキソン(セフォタキシム)およびアンピシリン†

グラム陰性桿菌(不明)

小児および成人

セフォタキシム(あるいはセフトリアキソン,メロペネム,またはセフタジジムのうちいずれか)

全身性感染症が疑われる場合は,ゲンタマイシン,トブラマイシン,またはアミカシン‡

インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型

小児および成人

セフトリアキソン(セフォタキシム)

髄膜炎菌(Neisseria meningitidis

小児および成人

セフトリアキソン(セフォタキシム)

感受性を確認した上で,感性株にはベンジルペニシリンを使用する。

肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae

小児および成人

バンコマイシン+セフトリアキソンまたはセフォタキシム

感受性を確認した上で,感性株にはベンジルペニシリンを使用してもよい。バンコマイシンは,ペニシリン耐性が非常に強く,セフトリアキソンとセフォタキシムでカバーできない可能性のある菌株をカバーする。それらの菌株は市中感染の最大50%を占める可能性がある。

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および表皮ブドウ球菌(S. epidermidis

小児および成人

バンコマイシンとリファンピシンの併用またはバンコマイシン単剤

メチシリン耐性株にはバンコマイシンを使用するか,感受性が判明した後であれば,ナフシリン(nafcillin)またはオキサシリンを使用してもよい。

バンコマイシンまたはナフシリン(nafcillin)で改善がみられない場合は,リファンピシンを追加する。

Listeria

小児および成人

アンピシリン(ベンジルペニシリン)

または

トリメトプリム/スルファメトキサゾール

感受性を確認した上で,感性株にはベンジルペニシリンを使用する。

ペニシリンアレルギーのある患者には,トリメトプリム/スルファメトキサゾールを使用する。

グラム陰性腸内細菌(例,大腸菌[Escherichia coli],Klebsiella属,Proteus属)

小児および成人

セフトリアキソン(セフォタキシム)

全身性感染症が疑われる場合は,ゲンタマイシン,トブラマイシン,またはアミカシン‡

Pseudomonas

小児および成人

メロペネム(セフタジジムまたはセフェピム),通常単独投与であるが,ときにアミノグリコシド系と併用される

または

アズトレオナム

* 括弧内に代替の抗菌薬を示した。

† グラム陽性細菌が多型性であれば,Listeria属をカバーするためにアンピシリンを含める。

‡ アミカシンはゲンタマイシン耐性の頻度が高い地域で使用されている。アミノグリコシド系は髄液移行性が低いため,髄膜炎の治療に用いられることはまれである。アミノグリコシド系薬剤が必要な場合は,髄腔内またはOmmaya reservoirでの投与が必要になることがある(特にPseudomonas属細菌による髄膜炎の場合)。アミノグリコシド系薬剤を使用する場合は,腎機能をモニタリングすべきである。

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