外部放射線または内部吸収による全身被曝の影響

症候群の段階

特徴

線量(Gy)*,†

1~2

2~6

6~8

8~30

> 30

前駆症状

悪心および嘔吐の発生率

5~50%

50~100%

75~100%

90~100%

100%

被曝後の悪心および嘔吐の発症時間‡

2~6時間

1~2時間

10~60分

10分以内

数分

悪心および嘔吐の持続時間

24時間未満

24~48時間

48時間未満

48時間未満

N/A(48時間以内に患者死亡)

下痢の重症度および発生率

なし

なし~軽度(< 10%)

中等度から重度(> 10%)

重度(> 95%)

重度(100%)

被曝後の下痢の発症時間

3~8時間

1~3時間

1時間未満

1時間未満

頭痛の重症度および発生率

わずか

軽度から中等度(50%)

中等度(80%)

重度(80~90%)

重度(100%)

被曝後の頭痛の発症時間

4~24時間

3~4時間

1~2時間

1時間未満

発熱の重症度

発熱なし

中等度の上昇

中等度から重度

重度

重度

発熱の発生率

10~100%

100%

100%

100%

被曝後の発熱の発症時間

1~3時間

1時間未満

1時間未満

1時間未満

中枢神経系機能

障害なし

6~20時間の認知障害

24時間以上の認知障害

より高い線量では,急速な正常機能の喪失

数時間の意識清明期がある場合がある

運動失調

痙攣発作

振戦

嗜眠

潜伏期間

症状なし

28~31日

7~28日

7日以内

なし

なし

顕性疾患

臨床像

軽度から中等度の白血球減少症

疲労

筋力低下

中等度から重度の白血球減少症

紫斑

出血

感染症

3Gy以降で脱毛

重度の白血球減少症

高熱

下痢

嘔吐

めまいおよび見当識障害

低血圧

電解質異常

悪心

嘔吐

重度の下痢

高熱

電解質異常

ショック

N/A(48時間以内に患者死亡)

主要な器官系症候群

造血器

造血器

消化管(粘膜細胞)

消化管(粘膜細胞)

中枢神経系

入院

外来での経過観察

推奨~必要

緊急入院

緩和治療(対症療法のみ)

緩和治療(対症療法のみ)

治療を行わなかった場合の急性死亡率

0~5%

5~100%

95~100%

100%

100%

治療を行った場合の急性死亡率

0~5%

5~50%

50~100%

100%

100%

死亡

6~8週間

4~6週間

2~4週間

2日~2週間

1~2日

* 1ラド = 1cGy;100ラド = 1Gy。

† 約1Gyまでの全身被曝では症状が生じる可能性は低い。

‡ 嘔吐までの時間は放射線量を推定する迅速で安価な方法であるが,不正確で偽陽性率が高いため,注意して使用すべきである。リンパ球数や被曝可能性の詳細などの追加情報により正確性が向上する。

Adapted from Military Medical Operations Armed Forces Radiobiology Research Institute: Medical Management of Radiological Casualties, edition 3.June 2010.

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