ざ瘡治療に使用される薬剤

薬剤

有害作用

備考

外用抗細菌薬

過酸化ベンゾイル2.5%,5%,10%ゲル,ローション,または洗顔料

乾燥皮膚

衣服や毛髪が漂白されることがある

アレルギー反応(まれ)

面皰改善作用(comedolytic effect)と抗細菌作用(antimicrobial effect)があり,耐性菌の出現があっても非常に少ない

耐えられるなら,全ての患者に使用すべきである

通常はゲル製品が好まれる

過酸化ベンゾイル/クリンダマイシンゲル

乾燥皮膚

衣服や毛髪が漂白されることがある

アレルギー反応(まれ)

American Academy of Dermatologyの尋常性ざ瘡の管理に関する2016年版診療ガイドラインで言及されている配合剤の1つ

過酸化ベンゾイル/エリスロマイシンゲル

乾燥皮膚

衣服や毛髪が漂白されることがある

アレルギー反応(まれ)

一部の製剤は冷蔵保存する必要がある

クリンダマイシン1%ゲルまたはローション

下痢(まれ)

炎症性腸疾患の患者では使用を控えるべきである

ジアフェニルスルホン5%および7.5%ゲル

過酸化ベンゾイルと併用した場合の一過性の皮膚の黄色化

非常にまれにメトヘモグロビン血症を引き起こす

エリスロマイシン1.5~2%(複数の基剤がある)

局所刺激性(まれ)

忍容性は良好であるが,しばしば耐性菌が生じる

ミノサイクリン4%フォーム剤

刺激感,乾燥皮膚,発赤

フォーム剤の噴霧剤は可燃性である。塗布直後は火気および喫煙を避ける。

外用面皰改善薬と角質除去剤

アダパレン0.1%ゲル,クリーム,ローション;0.3%ゲル

いくらかの発赤,熱感,日光に対する感受性の亢進

トレチノインと同程度に効果的であるが,刺激が少ない

防護用の衣服の着用とサンスクリーン剤の使用が必要である

アゼライン酸20%クリーム

皮膚の色が薄くなる可能性がある

刺激性はごくわずかである

単剤使用またはトレチノインとの併用が可能である

皮膚の色が薄くなる作用があるため,皮膚の色が濃い患者への使用には注意が必要である

グリコール酸5~10%

チクチク感

軽度の皮膚刺激

クリーム,ローション,または溶液のOTC医薬品;補助的な治療法であるが,もはや一般的には用いられていない

タザロテン0.05%または0.1%のクリームまたはゲル

皮膚刺激

日光に対する感受性の亢進

タザロテンを開始すると,一旦ざ瘡が見かけ上悪化し,改善がみられるまでに3~4週間かかることがある

防護用の衣服の着用とサンスクリーン剤の使用が必要である

妊娠中は使用を控えるべきである

トレチノイン0.025%,0.05%,0.1%クリーム;0.05%溶液; 0.01%,0.025%,0.1%ゲル

皮膚刺激(乾燥,紅斑,および鱗屑を伴う)

日光に対する感受性の亢進

低力価(例,0.025%クリーム)で治療を開始し,効果がなければ増量するが,皮膚刺激が生じた場合は,力価,投与頻度,またはその両方を減じるべきである

トレチノインを開始すると,一旦ざ瘡が見かけ上悪化し,改善がみられるまでに3~4週間かかることがある

防護用の衣服の着用とサンスクリーン剤の使用が必要である

妊娠中は使用を控えるべきである

トリファロテン(trifarotene)0.005%クリーム

皮膚の乾燥,紅斑,および鱗屑

日光に対する感受性の亢進

防護用の衣服の着用とサンスクリーン剤の使用が必要である

経口抗菌薬

アジスロマイシン250mg,1日1回,または様々なレジメンによる隔日もしくはパルス投与

胃の不調

しばしば耐性菌が発生する

ドキシサイクリン50~100mg,1日2回

日光に対する感受性の亢進

効力および費用の点で優れた第1選択薬

防護用の衣服の着用とサンスクリーン剤の使用が必要である

エリスロマイシン250~500mg,1日2回

胃の不調

しばしば耐性菌が発生する

ミノサイクリン50~100mg,1日2回

頭痛

めまい

皮膚の変色

ときにより効果的な抗菌薬とみなされるが,この点については明らかでなく,費用が高くなる可能性がある(2)

サレサイクリン(sarecycline)(体重別):

  • 33~54kg:60mg,1日1回

  • 55~84kg:100mg,1日1回

  • 85~136kg:150mg,1日1回

他のテトラサイクリン系薬剤と同様

ざ瘡に特異的な細菌を標的とする狭い抗菌スペクトル

テトラサイクリン250~500mg,1日2回

日光に対する感受性の亢進

安価かつ安全であるが,空腹時に服用する必要がある

防護用の衣服の着用とサンスクリーン剤の使用が必要である

トリメトプリム/スルファメトキサゾール160mg/800mg,1日1回または1日2回

まれな薬物有害反応

耐性菌が発生する

経口レチノイド

イソトレチノイン1~2mg/kg,1日1回,16~20週間

発育中の胎児に害を及ぼす可能性がある

血球,肝臓,および脂質(トリグリセリドおよびコレステロール)濃度に影響を与える可能性がある

ドライアイ,口唇の荒れ,粘膜の乾燥

高用量では大関節および腰部の疼痛またはこわばり

抑うつ,自殺念慮,自殺企図,および(まれに)自殺既遂との関連がある

炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)の新規発症または悪化との関連については不明である

性的に活動的な女性では,イソトレチノインの使用開始前と使用中に月1回妊娠検査を行うとともに,使用開始1カ月前から2種類の避妊法または禁欲を開始し,使用中および使用中止後1カ月間まで継続する必要がある

血算,肝機能,空腹時血糖値,および脂質プロファイルの検査を定期的に行う必要がある

抗アンドロゲン薬

クラスコテロン(clascoterone)1%クリーム

発赤,鱗屑または乾燥,およびそう痒

12歳以上の患者のざ瘡治療用

経口避妊薬

高血圧,血栓塞栓症

体重増加

悪心

破綻出血

頭痛

女性のざ瘡治療用

スピロノラクトン(50mg,経口,1日1回で開始し,必要に応じて,数カ月後に100~150mg[最大200mg],経口,1日1回に増量する)

ふらつき

排尿の増加

乳房の圧痛

悪心

女性のざ瘡治療用

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