4つ以下の関節における痛みの主な原因

原因

示唆する所見

診断*

強直性脊椎炎

通常は体軸関節の疼痛とこわばり,午前中に強く,活動により軽減する

ときに末梢の大関節に液貯留

ときに関節外症状(例,ぶどう膜炎,付着部炎,大動脈弁閉鎖不全)

若年成人男性に多い

腰仙椎のX線

ときにMRIまたはCT,血液検査(赤血球沈降速度,C反応性タンパク[CRP],および血算),および/または特異的な(改訂New York)臨床基準

ベーチェット症候群

関節痛または関節炎

反復性の口腔病変および/または性器病変,またはぶどう膜炎などの関節外症状

通常20代で始まる

特異的な(国際)臨床基準

結晶誘発性関節炎‡,典型的には尿酸結晶(痛風),ピロリン酸カルシウム結晶(ピロリン酸カルシウム関節炎),またはカルシウムヒドロキシアパタイトの結晶によって引き起こされる

関節の熱感および腫脹を伴う関節炎の急性発症

細菌性の感染性(化膿性)関節炎と臨床的に鑑別できないことがある

ときに発熱

関節穿刺

感染性心内膜炎

関節痛または関節炎

発熱,盗汗,発疹,体重減少,心雑音などの全身症状

血液培養

心エコー検査

変形性関節症

親指の付け根,PIP関節およびDIP関節,膝,ならびに股関節により多くみられる慢性痛

ときにヘバーデン結節および/またはブシャール結節

X線

反応性関節炎および腸炎性関節炎†

非対称性で下肢の大関節に多い関節炎

反応性関節炎:急性関節炎発症の1~3週間前に消化管感染症または泌尿生殖器感染症

腸炎性関節炎:慢性関節炎に消化管の病態(例,炎症性腸疾患,腸のバイパス手術)が併存する

臨床的評価

臨床的な適応に応じた性感染症検査

* 炎症を伴う急性の関節液貯留がある患者には関節穿刺(細胞数測定,グラム染色,培養,および結晶検査とともに),ならびに通常は赤血球沈降速度(赤沈)およびC反応性タンパク(CRP)の検査を行うべきである。X線は疾患経過の早い段階では参考にならないことが多い。

†これらの疾患は体軸関節の病変として現れることがある。

‡ 結晶誘発性関節炎はほとんどの場合単関節型であるが,ときに少関節性または多関節性である。

DIP = 遠位指節間;PIP = 近位指節間。

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