外傷性脳損傷の一般的な病型

疾患

臨床所見

診断

急性硬膜下血腫

典型的には,急性の神経機能障害,局所性,局所性以外,またはその両方がありうる

血腫が小さければ,機能正常のことがある

CT:典型的には硬膜下腔に三日月形の高吸収域

正中偏位の程度が重要

頭蓋底骨折

鼻または耳からの髄液漏出

鼓膜後方の出血(鼓室内出血)または外耳道内の出血

耳介後部の斑状出血(Battle徴候)または眼窩周囲の斑状出血(パンダの目徴候[raccoon eyes])

CT:通常は描出される

脳挫傷

様々な程度の神経機能障害または機能正常

CT:様々な大きさの点状出血による高吸収域

脳震盪

持続時間が6時間未満の一過性の精神状態変容(例,意識消失または記憶障害)

臨床所見に基づく

CT:定義上,急性の頭蓋内の出血,病変,挫傷は存在しない;頭蓋骨に,転位のないまたはわずかに転位のある線状骨折がみられることがある

慢性硬膜下血腫

緩徐な頭痛,傾眠,混乱,ときに局所神経脱落症状または痙攣発作を伴う

CT:硬膜下腔の低吸収域(亜急性期の異常は高吸収から低吸収域への移行期であるため等吸収となる)

びまん性軸索損傷

6時間以上持続する意識消失,ただし局所神経脱落症状や異常肢位はみられない

臨床所見に基づく

CT:当初は正常のこともあれば,脳梁,半卵円中心,基底核,または脳幹に小さな高吸収域(微小出血)がみられることもある

MRI:深部白質または皮質下領域および脳幹に複数の小さな微小出血

硬膜外血腫

頭痛,数時間以内の意識障害,ときに意識清明期を伴う

典型的には対側の不全片麻痺および同側の散瞳を引き起こす脳ヘルニア

CT:硬膜外腔の高吸収域,古典的には両凸レンズ状を呈し,側頭骨骨折では中硬膜動脈の領域(側頭窩)に位置する

くも膜下出血

典型的には,神経学的診察は正常

ときに,急性の神経機能障害

CT:脳表のくも膜下腔に高吸収域;しばしば大脳鎌に沿う

関連するトピック