国際旅行におけるワクチン接種*, †

感染症

ワクチンが推奨される地域

備考

COVID-19

世界中

年齢,旅行者の併存症,および保健当局による最新の推奨に応じて追加接種を勧める

COVID-19ワクチンも参照

A型肝炎

全ての低所得国および中所得国

6カ月以上の間隔をおいて2回接種;2回目の接種で高いレベルの長期的な予防効果が得られる‡

A型肝炎ワクチンも参照

B型肝炎

全ての低所得国および中所得国,特に中国

初回接種として3回,0,1,および6~18カ月時点現在では60歳までの全ての人に推奨されている

長期滞在者や全ての医療従事者においては特に重要である‡

B型肝炎ワクチンも参照

インフルエンザ

世界中

北半球におけるシーズン:9月から5月

南半球におけるシーズン:4月から9月

熱帯地域では,1年を通じてインフルエンザが伝播する

ときに,北半球と南半球で若干異なるインフルエンザワクチンが使用されることもある

日本脳炎

アジアおよび南アジアの多くの農村地域,特に田園地帯や養豚場のある地域

28日の間隔を空けて2回接種

妊婦には推奨されない

流行地域での滞在期間が1カ月未満の人には通常推奨されない

18~65歳の成人の場合,1回目の接種から7日後に2回目の接種を行ってもよい

髄膜炎菌感染症

サハラ以南アフリカ北部のマリからエチオピアにかけて(髄膜炎ベルト)

ハジやウムラ巡礼中にサウジアラビアに入国する際に予防接種が求められる

特に密集した居住環境(例,寮)では世界中

4価ワクチン(MenACWY-D[Menactra®]またはMenACWY-CRM[Menveo®])の1回接種は5年間有効である

アフリカの「髄膜炎ベルト」では乾季(12月~6月)に感染リスクが高まるほか,密集した居住環境に住む人々で感染リスクが高まる

髄膜炎菌ワクチンも参照

狂犬病

米国を含む世界各国

動物咬傷のリスクのある旅行者(例,農村地域でキャンプする人,獣医師,野外研究者,僻地に住む人)に推奨される

この予防接種をしていても,動物にかまれた後には予防効果を高めるための追加接種が必要

妊娠中の接種は感染リスクが高い場合にのみ推奨される

狂犬病の予防も参照

腸チフス

全ての低所得国,特に南アジア(インドを含む)

2つの製剤が使用可能である。

錠剤:2日毎に1錠,合計で4錠;5年間の予防効果

  1. 妊婦への接種は安全ではない

単回注射:2年間の予防効果があり,妊婦では錠剤より安全であると考えられている。

腸チフスの予防も参照

黄熱

南米の熱帯地域

アフリカの熱帯地域

旅行者ではまれな感染症であるが,多くの国では入国のための予防接種の証明が必要である§

妊婦への接種は安全ではない

高齢者では有害作用のリスクが高い§

大半の旅行者では1回の接種で生涯の予防効果がある。

黄熱の予防も参照

*上記の予防接種に加え,インフルエンザ,麻疹,ムンプス,風疹,破傷風,ジフテリア,ポリオ,肺炎球菌感染症,水痘などの定期予防接種を最新の状態にしておくべきである。

†全ての推奨は変更されることがある。最新の推奨については,米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)(www.cdc.govまたは800-232-4636)で入手可能である。予防接種の概要も参照のこと。

‡HepAとHepBの混合ワクチンも使用可能であり,3回接種または4回接種のスケジュールで接種を行う。(A型肝炎ワクチンおよびB型肝炎ワクチンを参照のこと。)

§60歳以上の旅行者に対して,医療提供者は黄熱ワクチンを接種する代わりに,イエローカード(予防接種の国際証明書)の免除項目を検討すべきである。なお,そのような旅行者は,昆虫への個人的防御対策に特に注意を払うべきである。

関連するトピック