従来のX線撮影

執筆者:Mehmet Kocak, MD, Rush University Medical Center
レビュー/改訂 2021年 4月
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従来のX線撮影ではX線を使用するが,X線を単純に使用する検査を他の技術と組み合わせたX線検査(例,CT)と区別するために,ときに「単純X線」という用語が用いられる。

従来のX線撮影では,発生したX線ビームが患者の体を通過し,フィルムまたは放射線検出器に達することで画像が生成される。種類の異なる軟部組織では,組織の密度に応じてX線光子が減衰する程度に差があり,密度が高い組織ほど,画像上では白く見える(放射線不透過性が高い)。密度の程度は,最高から最低の順に金属(白,すなわち放射線不透過性),骨皮質(より薄い白),筋肉および液体(灰色),脂肪(濃灰色),空気またはガス(黒,放射線透過性)に代表される。

従来のX線撮影の利用

X線撮影は最も容易に利用できる画像検査法である。典型的には,四肢,胸部,ならびにときに脊椎および腹部の評価のために適応となる最初の画像検査法である。これらの領域には,隣接する組織と密度が異なる重要な構造が含まれる。例えば,以下のものの検出にはX線撮影が第1選択の検査となる。

  • 骨折:白い骨が灰色の軟部組織に隣接しているためよく見える。

  • 肺炎:肺を満たす炎症性滲出液が,隣接するより放射線透過性の高い気腔とコントラストをなすためよく見える。

  • 腸閉塞:膨張した,空気で満たされている腸係蹄が,周囲の軟部組織の中でよく見える。

従来のX線撮影のバリエーション

造影検査

隣接組織の密度が類似している場合,1つの組織または構造を周囲から識別するために,しばしば放射線不透過性の造影剤(X線造影剤と造影剤反応を参照)が追加される。一般的に造影剤を必要とする構造には,血管(血管造影のため)や消化管,胆管,および泌尿生殖器の内腔などがある。下部消化管を拡張して可視化するためにガスが使用されることがある。

断層画像の方が病変の解剖学的局在がよりよくわかるため,造影検査は大部分が他の画像検査(例,CTMRI)に取って代わられている。食道,胃,および上部腸管のバリウム造影検査は,大部分が内視鏡手技に取って代わられている。

X線透視検査

連続的なX線ビームを用いて,動く構造または物体のリアルタイム画像が作成される。X線透視検査は以下の状況で最もよく用いられる:

  • 造影剤を用いて(例,嚥下検査または冠動脈カテーテル検査)

  • 電極,カテーテル,または針の留置をガイドする医療処置の際(例,電気生理学的検査または経皮的冠動脈インターベンション)

X線透視検査は,横隔膜および骨と関節の動きを確認するため(例,筋骨格系損傷の安定性を評価するため)にリアルタイムで用いられることもある。

従来のX線撮影の短所

多くの状況で診断精度に限界がある。他の画像検査に,より詳細な画像が得られる,より安全または迅速であるなどの利点がある場合もある。

バリウムやガストログラフィン(ヨード系の経口造影剤)など腸管用の造影剤には(使用する場合)短所があり(CTの短所を参照),静注造影剤にはリスクがある

X線透視検査では放射線量が高いことがある(医療放射線のリスクを参照)。

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