ナチュロパシーは正式な医療分野として1900年代初頭に米国で始まった。ナチュロパシーでは自然がもつ治癒力に基づき,以下のことを重視する:
健康的な生活習慣を通じた疾患の予防と治療
患者の全人的な治療
体の自然治癒力の利用
ナチュロパシーの原理の中には,アーユルヴェーダや中国伝統医学などの伝統的な癒しの体系の原理とそれほど変わらないものもある。
ナチュロパシーでは鍼治療やカウンセリング,運動療法,植物薬,水治療法,栄養療法,理学療法(例,温熱療法,寒冷療法,超音波,マッサージ),誘導イメージ療法,ストレス管理などの治療法を組み合わせて治療を行う。
米国自然療法医協会(American Association of Naturopathic Physicians)は,禁忌がない場合は,権威のある情報源(例,米国公衆衛生局[United States Public Health Service])のガイドラインに従って予防接種を行うことを勧めている。
(統合・補完・代替医療の概要も参照のこと。)
ナチュロパシーのエビデンス
ナチュロパシーの多くの診断法および治療法には,限定されたまたは質の低いエビデンスしかない。ビタミンCの静脈内投与は,効力または安全性に関する質の高いエビデンスがないにもかかわらず,ナチュロパシーの提供者により一般的に行われているが(1),この療法は安全であると考えられている(2)。ナチュロパシーのアプローチに関する研究の多くは小規模であるものの,通常医療のアプローチに対する非劣性や,ときに費用対効果の高さが実証されている。系全体,患者全体を中心に置くナチュロパシーの哲学的アプローチは,心疾患,疼痛,2型糖尿病,ならびに精神疾患およびその他の慢性疾患を有する患者に有益であることが示されている(3)。
参考文献
1.Fritz H, Flower G, Weeks L: Intravenous vitamin C and cancer: a systematic review.Integr Cancer Ther 13(4):280-300, 2014.doi: 10.1177/1534735414534463
2.van Gorkom GNY, Lookermans EL, Van Elssen CHMJ, et al: The effect of vitamin C (ascorbic acid) in the treatment of patients with cancer: A systematic review.Nutrients 11(5):977, 2019.doi: 10.3390/nu11050977
3.Myers SP, Vigar V: The state of the evidence for whole-system, multi-modality naturopathic medicine: A systematic scoping review.J Altern Complement Med 25(2):141-168, 2019.doi: 10.1089/acm.2018.0340