セラピューティックタッチはエネルギー療法の一種である。この療法の背後にある哲学は,施術者のエネルギー(バイオフィールド)を用いて患者のバイオフィールドに影響を与えるというものである。通常,施術者は患者に実際には触らず,代わりに患者の上にかざした手を動かす。セラピューティックタッチはがん患者の不安を軽減したり,健康の感覚を高めたりするために行われている。米国では,看護師が多くの臨床現場にセラピューティックタッチを導入している。
セラピューティックタッチは微妙なエネルギーとバイオフィールドの領域で作用するため,現在の通常医療のツールでは,この療法を直接測定したり研究したりするための対応力が不十分である。質の高い臨床研究が必要であるが,存在する研究についてのシステマティックレビューでは,何らかの疾患の治療におけるセラピューティックタッチの有効性を支持する十分なエビデンスは見出されなかった(1)。より最近のシステマティックレビューでは,急性創傷患者の治癒促進における効力を示すエビデンスは認められなかった(2)。
(統合・補完・代替医療の概要も参照のこと。)
参考文献
1.Fazzino DL, Griffin MT, McNulty RS, et al: Energy healing and pain: a review of the literature.Holist Nurs Pract 24(2):79-88, 2010.doi: 10.1097/HNP.0b013e3181d39718
2.O'Mathúna DP: Therapeutic touch for healing acute wounds.Cochrane Database Syst Rev (8):CD002766, 2016.doi: 10.1002/14651858.CD002766.pub5