軟体動物による刺傷

執筆者:Robert A. Barish, MD, MBA, University of Illinois at Chicago;
Thomas Arnold, MD, Department of Emergency Medicine, LSU Health Sciences Center Shreveport
レビュー/改訂 2022年 1月
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    軟体動物には,巻貝(イモガイなど),頭足類(タコおよびイカなど),および二枚貝が含まれる。

    イモガイ類

    インド洋や太平洋では,ダイバーや貝収集家において,まれにイモガイ類が海における毒液注入の原因となる。イモガイは攻撃的に扱われた際(例,貝殻の洗浄中,ポケットに入れたとき),銛状の歯で毒を注入する。イモ貝毒に含まれるイオンチャネルおよび神経伝達物質受容体を遮断する多数の神経毒は,通常可逆的な麻痺をもたらすが,一部には死亡例もある。

    治療は支持療法であり,局所の圧迫固定(例,患肢周囲に幅の広いクレープ加工素材またはその他の素材の包帯を巻く),温水浸漬,破傷風予防などが考えられる(ルーチンの創傷管理における破傷風予防の表を参照)。重症例では呼吸補助が必要になる場合がある。

    Conus californicus

    Conus californicusは,北米海域において唯一知られている危険なイモガイである。東太平洋の海域に生息している。刺されると局所痛,腫脹,発赤,およびしびれが生じ,まれに麻痺またはショックへと進行する。他のイモガイによる刺傷と同様に,治療は主として支持療法による。局所的な処置はほとんど効果がないと考えられており,アドレナリンおよびネオスチグミンの局所注射が役立つという報告があるが,証明はされていない。Conusによる重度の刺傷には,機械的人工換気およびショックから回復させるための処置が必要になることがある。

    タコ類

    北米ではタコによる咬傷で重篤となることはまれである。

    オーストラリア海域でよくみられるヒョウモンダコによる咬傷はテトロドトキシンの毒液注入を引き起こし,局所性の感覚麻酔,神経筋麻痺,呼吸不全を伴う;治療は支持療法による。

    イカ類

    大型(1.5mに達する)で攻撃的なアメリカオオアカイカが米国西海岸に生息しており,釣り人やダイバーへ咬傷も報告されている。その他のイカの種はあまり問題とならない。

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