トイレトレーニングでは,トイレに関する個々のステップ(トイレに行くかどうかを決め,服を脱ぎ,排泄し,再び服を着て,水を流し,手を洗うこと)について児の準備の整ったことを親が認識し,それらを実行に移す。
大抵の小児は2~3歳で排便の,3~4歳で排尿の訓練が可能になる。平均的な小児では,5歳までに1人でトイレに行けるようになる。小児の失禁については,小児の尿失禁と小児の便失禁を参照のこと。
トイレトレーニングを成功させる鍵は,訓練への準備が整っている状態の徴候を認識することにある(通常は生後18~24カ月でみられる):
数時間尿を漏らさずにいられる。
オマルに座ることに関心を示し,排尿または排便を準備している徴候を目に見える形で表現する。
排尿または排便の後におむつを替えてもらいたがる。
物を元にあった場所に置くことができ,口頭での簡単な指示を理解して実行することができる。
トイレトレーニングのアプローチは,養育者全員の間で一貫していなければならない。
タイミング法が最も一般的なアプローチである。準備が整ったことを児が示して見せたら,親はそれから何が起こるかについて,本人が容易に理解できる言葉を選びながら児と話をする。オマルに徐々に慣れさせて,まずは普通に服を着た状態で短時間座らせ,続いてパンツを脱ぎ,最長5~10分程度オマルに座り,再び服を着る流れを練習される。訓練の目的を繰返し説明し,濡れたおむつや汚れたおむつをオマルの中に置くことで強調する。オマルと排泄のつながりが構築されたら,親は児の排泄の欲求を察知し,排泄がうまくいったら積極的にほめるように心がけるべきである。また,排泄の欲求を感じたときはいつでもオマルを使う練習をするように児を促す。排泄が終わるたびに水を流し,手を洗うことを教えるべきである。排泄の予測が立たない小児では,この種の方法は実行が難しく,訓練は児が自分で排泄を予測できるようになるまで待たなければならない。たまたま失敗したりうまくいかなかったりしたときに,怒ったり罰を与えたりするのは逆効果になる。
児がオマルに座るのを嫌がる場合は,食後に再び試みるべきである。抵抗が何日も続く場合は,トレーニングを少なくとも数週間延期するのが最もよい戦略となる。トイレに成功したことに対し報酬を与えて行動変容を促すのも選択肢の1つであるが,一旦パターンが確立したら,報酬は徐々に減らしていく。
力ずくでの訓練は,それまでに達成されたあらゆる進歩の退行につながることが多く,親子関係にひずみを生じさせる場合もあるため避けなければならない。トイレトレーニングが済んだ小児もまた,病気になったときや感情的に動揺しているとき,あるいは弟や妹ができた際など親からの注目を集めたいと感じるときに,退行することがある。オマルの使用拒否は,親に言うことを聞いてもらおうとする小細工の表れである場合もある。このような状況では,児にプレッシャーをかけることを避け,報酬を与え,もし可能であればトイレが関係しないときに児により多くの世話と注目を向けるよう親を指導する。