乳頭パジェット病

(乳頭Paget病)

執筆者:Gregory L. Wells, MD, Ada West Dermatology and Dermatopathology
レビュー/改訂 2022年 9月
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パジェット病は,片側の乳頭および乳輪に湿疹様ないし乾癬様の局面として生じる,まれな種類の癌腫である。下床に乳管腺癌があり,それが表皮に進展して発生する。診断は生検による。治療は乳癌の場合と同様で,乳頭および乳輪の切除を含む。乳房外パジェット病の治療は手術,外用療法,放射線療法,またはレーザー療法による。

皮膚がんの概要も参照のこと。)

乳頭パジェット病を同じくパジェット病と呼ばれる代謝性骨疾患と混同してはならない。乳頭パジェット病は,診断時から転移巣が存在する場合が多い。

乳頭パジェット病は他の部位にも発生し,その大半は鼠径部または肛門周囲部である(乳房外パジェット病)。乳房外パジェット病は,皮膚のアポクリン腺から発生するか,あるいは膀胱,肛門,または直腸のがんから進展して生じる,まれな腺癌である。

乳頭パジェット病の診断

  • 生検

発赤,滲出,および痂皮を伴い,皮膚炎に酷似するが,病変の境界が明瞭で,片側性であり,外用療法への反応が乏しいことから,医師は悪性腫瘍を疑うべきである。生検では典型的な組織学的変化を示す。

この腫瘍には下床の悪性腫瘍が関連していることから,全身的な評価(例,病歴聴取と身体診察,年齢に応じたがんスクリーニング,画像検査)が必要である。

乳頭パジェット病の治療

  • 下床の腫瘍に対する治療

  • 乳頭乳輪複合体の切除

乳頭パジェット病の治療としては,発見された下床の腫瘍に対する適切な乳癌治療を行うが,具体的には乳頭乳輪複合体(nipple-areolar complex)の広範囲切除が含まれる。下床に乳癌が発見されない場合は,乳房切除術または乳頭乳輪複合体の切除に続いて放射線療法を行う治療法を用いてもよい。

乳房外パジェット病の治療としては,皮膚浸潤被覆部に対するアブレーションを行う場合もあり,さらに外用療法(例,外用フルオロウラシル,イミキモド,光線力学療法),放射線療法,手術,またはCO2レーザー焼灼術も施行する。内臓の悪性腫瘍を除外するために徹底的な評価を行うべきである。

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