シストイソスポーラ症

執筆者:Chelsea Marie, PhD, University of Virginia;
William A. Petri, Jr, MD, PhD, University of Virginia School of Medicine
Reviewed ByChristina A. Muzny, MD, MSPH, Division of Infectious Diseases, University of Alabama at Birmingham
レビュー/改訂 修正済み 2024年 5月
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シストイソスポーラ症は,原虫の一種であるCystoisospora belli(かつてはIsospora belliと呼ばれていた)による感染症である。症状としては,消化管症状と全身症状を伴う水様性下痢などがある。診断は便または腸生検標本中の特徴的なオーシストの検出による。治療は通常,トリメトプリム/スルファメトキサゾール(TMP/SMX)による。

腸管内寄生原虫および微胞子虫による感染症の概要も参照のこと。)

シストイソスポーラ症は,腸上皮細胞に感染する偏性細胞内寄生原虫によって引き起こされる。感染者の便で汚染された食品または水を介した糞口感染により伝播する。シストイソスポーラ症は世界中で発生しているが,熱帯および亜熱帯気候で最もよくみられる。流行地域の居住者およびそのような地域への旅行者はリスクが高い。

C. belliの生活環はクリプトスポリジウムのそれに類似しているが,便中に排泄されるオーシストが胞子形成をしていないという点で異なる。そのため,排泄されたばかりの便中のオーシストは感染力をもたず,直接的な糞口感染は起こりえない。オーシストは,環境中で数日から数週間かけて胞子形成するため,ヒトからヒトへの直接的な伝播の可能性は低い。胞子形成したオーシストは,汚染された食品または水を介して摂取され,消化管内で脱嚢し,スポロゾイトを放出する。スポロゾイトは小腸の上皮細胞内に侵入し,増殖してオーシストへと成熟し,これが便中に排泄される。

シストイソスポーラ症の症状と徴候

シストイソスポーラ症の主な症状は,突然生じる非血性の水様性下痢で,発熱,腹部痙攣,悪心,食欲不振,および倦怠感を伴う。免疫能が正常な患者では,通常は自然に消退するが,数週間続くこともある。

末期のHIV感染症患者のように細胞性免疫が低下した宿主では,シストイソスポーラ症が長期化して重度かつ難治性の大量の下痢がみられ,さらにクリプトスポリジウム症の場合と類似する体重減少が生じる。

シストイソスポーラ症の診断

  • 便の鏡検

シストイソスポーラ症の診断は,便の鏡検でオーシストを検出することによる。Ziehl-Neelsen染色変法またはKinyoun抗酸菌染色法は,シストイソスポーラ(Cystoisospora)のオーシストの同定に役立つ。シストイソスポーラ(Cystoisospora )のオーシストは自家発光する。シストイソスポーラ(Cystoisospora)のオーシストはサイクロスポーラやクリプトスポリジウムのオーシストより大きく,楕円体で,中に1つまたは2つのスポロブラストを含むことがある。

シストの分泌は間欠的となる場合があるため,複数(3回以上)の便検体が必要になることがある。

ときに,腸管組織の生検で細胞内寄生期の寄生虫が検出される場合に限り診断が下される。

シストイソスポーラ症では,便に好酸球由来のシャルコー-ライデン結晶(両端のとがった六方晶系,しばしば針状結晶)が含まれることがある。

シストイソスポーラ症では末梢血好酸球増多を来すことがある。

シストイソスポーラ症の治療

  • トリメトプリム/スルファメトキサゾール(TMP/SMX)

シストイソスポーラ症に対する第1選択の治療は,TMP/SMXの2倍量錠剤の7~10日間にわたる投与である。(Centers for Disease Control and Prevention: Treatment for Cyclosporiasisを参照)。

末期のHIV感染症患者では,高用量かつ長期の投与が必要になることがあり,急性感染症の治療では通常,再発予防のため,続けて長期の再発抑制療法(TMP/SMXの2倍量[160mg/800mg]錠剤1錠を週3回)を行う。抗レトロウイルス療法の開始と最適化が重要である。

TMP/SMXにアレルギーがある(または耐えられない)患者のシストイソスポーラ症は,ピリメタミンの3~4週間の投与で治療できる。骨髄抑制を防ぐため,ピリメタミンによる治療を受けている患者には,ロイコボリン(ホリナートとしても知られる)が投与される。成人用量は10~25mg,経口である。

シストイソスポーラ症の治療にシプロフロキサシンが7~10日間の投与で使用されているが,その有効性はTMP/SMXより低い。

シストイソスポーラ症の予防

予防は手洗いおよび食品や水への注意による。

流行地域では,飲料水は煮沸するか塩素処理し,皮を剥いていない果物は避け,野菜は十分に加熱調理するべきである。国際旅行者への詳細な推奨事項は,Centers for Disease Control and Prevention (CDC) Yellow Book: Food & Water Precautionsから入手できる。

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. Centers for Disease Control and Prevention (CDC) Yellow Book: Food & Water Precautions

  2. CDC: Parasites: Cystoisosporiasis: Resources for Health Professionals

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