反芻症

執筆者:Evelyn Attia, MD, Columbia University Medical Center;
B. Timothy Walsh, MD, College of Physicians and Surgeons, Columbia University
レビュー/改訂 2022年 7月
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反芻(rumination)とは,食後に食物の吐き戻しを繰り返す行為であり,吐き戻しは悪心やえずきを伴わず,意図的なものである場合もある。

摂食症群に関する序論も参照のこと。)

反芻症(rumination disorder)の患者は,食後に食物の吐き戻しを繰り返すが,悪心や不随意に生じるむかつき(嘔吐反射)はみられない。食物は吐き出される場合もあれば,再び嚥下される場合もあり,嚥下する前に噛み直す患者もいる。吐き戻しは週に数回,典型的には毎日生じる。

吐き戻し症は乳児,小児,青年,成人のいずれでも生じる。

吐き戻しは意図的な行為である場合もあれば,そうでない場合もあり,しばしば医師が直接観察することができる。

一部の患者は,その行動は社会的に望ましくないと認識しており,口の前に手を当てたり,食物摂取量を制限したりすることで隠そうする。他者と食事をすることを避け,社会活動や仕事の前に食事をとらないことで,人前では吐き戻しをしないようにする患者もいる。

吐き戻した内容物を吐き出す患者または食物摂取量を大幅に制限する患者では,体重減少や栄養欠乏を来すことがある。

反芻症の診断

  • 臨床基準(1)

反芻症は以下の場合に診断される:

  • 少なくとも1カ月にわたり食物の吐き戻しを繰り返している。

  • 逆流につながる消化器疾患(例,胃食道逆流症ツェンカー憩室)および反芻がときに起こる他の摂食症(例,神経性やせ症)が除外されている。

  • 吐き戻しが別の疾患を有する患者にみられる場合は,特異的な治療を必要とするほど重度である。

臨床医が吐き戻しを直接観察できる場合もあれば,患者が報告する場合もある。

医師は体重減少や栄養欠乏がないか確認するために栄養状態の評価も行う。

診断に関する参考文献

  1. 1.Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition Text Revision, DSM-5-TRTM, Feeding and eating disorders.

反芻症の治療

  • 行動変容

行動変容法(認知行動療法の戦略を用いる治療を含む)が役立つことがある。

要点

  • 反芻症とは,食後に食物の吐き戻しを繰り返す病態であるが,悪心や不随意に生じるむかつきはみられない。

  • 反芻症患者の中には,この行動が社会的に容認されないことを認識しており,他の行為を装ったり,隠そうとしたりする患者もいる。

  • 食事の量を制限する患者もおり(吐き戻しているのを人に見られないために),ときに体重減少や栄養欠乏につながることもある。

  • 反芻症の診断は,1カ月以上にわたり食物の吐き戻しを繰り返していることを報告した患者において,ほかに考えられる原因(例,消化管疾患,他の摂食症)を除外した後に下される。

  • 行動変容法により治療する。

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