神経学的診察に関する序論

執筆者:George Newman, MD, PhD, Albert Einstein Medical Center
レビュー/改訂 2023年 8月
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    神経学的診察の目的は,患者の脳,特殊感覚,脊髄,末梢神経,ならびに筋および皮膚の受容器が正常に機能しているかどうかを確認することである。診察を行う際には,認められた所見を神経系の解剖学的構造と関連づけて評価すべきである。その情報により,患者の症状を引き起こしている疾患の鑑別診断を絞り込むことが可能になる。神経学的診察を繰り返し行うことが,患者の疾患の経過や治療に対する反応を評価するのに役立つ可能性がある。

    神経学的診察は,患者の診察室への入室後すぐに始まり,病歴聴取の間も継続する。正式な神経学的診察から得られる情報は,患者の姿勢や歩行,四肢や顔面筋の自発的な動き,質問に対する患者の回答などを何気なく観察することで補完される。また患者の物腰,姿勢,アイコンタクト,服装,および応答は,患者の気分および社会的適応に関する重要な情報源である。異常ないし普段と異なる話し方,理解力の低下,複雑な動作を行うときの協調運動障害,異常な姿勢または自発運動,および空間無視は,正式な検査を行うまでもなく明白である場合がある。

    熟練した検者でない限り,神経学的診察は全ての項目を行うべきである。熟練した検者は,問題と関連する神経解剖や病態生理に関する自身の理解度に応じて,特定の診察項目を除外することができる。

    フルセットの神経学的診察には以下の項目が含まれる:

    詳細な神経学的診察にはかなりの時間を要するが,基本的な項目なら4分ほどで評価でき,それだけで主要な要素のどこに異常があっても検出することができる。異常所見があれば,その要素の詳細な診察を行う。

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