バコパとはなんですか?
バコパの学名はBacopa monnieraです。
バコパは小型の植物で、アジア全域のほか、南米、ハワイ州、フロリダ州で湿地に育ちます。
この植物はブラーミ、インドペニーワート、オトメアゼナ、ハーブオブグレイスとしても知られています。
ブラーミという一般的な名前は、バコパと類似した活性物質を有する、まったく別の植物であるゴツコラ(Centella asiatica)を指すこともあります。どちらの植物も、アダプトゲンと考えられています。
この植物はまるごと、インドの伝統医学アーユルベーダにおいて何世紀にもわたり使用されてきました。
バコパの有効成分は複数の「バコサイド」の混合物で、これは神経細胞を保護し、学習能力を改善すると考えられています。
この植物の成分には抗酸化作用や抗炎症作用もあると考えられています。抗酸化物質は正常な細胞活動の副産物であるフリーラジカルによる損傷から細胞を保護します。
この植物は、以下のようにいくつかの方法で使用されます。
ハーブとして摂取する
乾燥させ、バターと混合できる粉末にする
単独で、または他のハーブとともに錠剤やカプセルのサプリメントに加える
(サプリメントの概要も参照のこと。)
バコパについてどのような効能が主張されていますか?
このハーブについて数多くの健康上の便益が主張されており、例えば以下のものがあります。
記憶力や学習能力を改善する
てんかん、神経症、高血圧、不安、喘息、ハンセン病、結核、皮膚疾患を治療する
老化を遅らせる
ヘビによる咬み傷を治療する
アルツハイマー病を予防する、または治療する
消化を改善する
バコパには効果がありますか?
バコパを含め、一つの化合物が単独で、多様な健康上の便益を有する可能性は非常に低いでしょう。したがって、複数の便益を確認する科学的根拠が得られる可能性は非常に低いでしょう。
細胞や動物を用いた研究では、バコパに以下のような健康への効果がある可能性が示されていますが、これらの結果はヒトを対象とした試験では確認されていません。
多くの病態(がん、心疾患、糖尿病など)で高くなっている炎症のレベルを低下させる
不安やストレスを予防する
血圧を下げる
がん細胞を破壊する
ヒトを対象とした試験において、バコパについて主張されている健康上の便益を示す科学的根拠は限られています。これらの試験の多くは小規模であり(例えば、参加者100人未満)、質も低いものです。これらの試験から、バコパにはとりわけ以下の健康上の便益がある可能性が示唆されています。
注意力や記憶力を改善する
視覚情報の処理速度を上げる
小児の注意欠如・多動症の症状を軽減する
けいれん発作の予防を助ける
不安を軽減する
バコパの起こりうる副作用にはどのようなものがありますか?
最長で12週間のバコパの経口摂取は、ほとんどの人で安全です。ときにバコパは胃の不調、吐き気、下痢、疲労を引き起こします。バコパには以下の可能性もあることを示す科学的根拠もあります。
心拍数を低下させる(すでに心拍数が低下している人では問題になる可能性があります)
腸管内の通過を遅くする(腸管を動いていく食物や液体の通過を遅らせうる閉塞がある人では危険な場合があります)
胃液や腸液が増えることがあるため、潰瘍が悪化する
肺内の分泌物が増え、それにより喘息や他の肺疾患が悪化する
甲状腺ホルモン値を上昇させ、甲状腺疾患の人にとって安全ではない可能性がある
尿路の分泌物を増加させる可能性があるため、尿路閉塞が悪化する
バコパにはどのような薬物相互作用がありますか?
バコパと他の薬物との相互作用に関する科学的根拠はほとんどありません。
バコパは甲状腺ホルモン値を上昇させる可能性があるため、甲状腺ホルモン薬を服用している人はバコパを摂取してはいけません。
バコパと抗うつ薬のフルオキセチンを両方服用すると、錯乱、興奮、血圧や体温の変化などの症状が生じる可能性があります。
バコパは、脳、心臓、また身体の他の部位の特定の化学物質の濃度を上昇させる可能性があります。アルツハイマー病や緑内障の治療に使用されるピロカルピン、ドネペジル、タクリンなど一部の薬剤も、これらの化学物質に影響を及ぼす可能性があります。
バコパはまた、抗凝固薬のワルファリン、グリピジドなどの糖尿病薬、ジルチアゼムやロサルタンなどの一部の降圧薬、またエトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどの一部の化学療法薬の濃度を上昇させる可能性もあります。
推奨事項
バコパの健康への有益な効果は、ヒトを対象とした質の高い試験では確認されていません。
副作用の可能性を上回る有益性が確認されていないため、バコパの使用は推奨されません。
バコパはほとんどの人にとって、おそらく安全です。しかしながら、以下が推奨されます。
妊婦、胃潰瘍、甲状腺疾患、腸閉塞、尿路閉塞、心拍数低下、または肺疾患のある人は、バコパを避けるべきです。
特定の薬剤(フルオキセチン、甲状腺ホルモン、またアルツハイマー病、緑内障、高血圧、糖尿病の治療薬など)を使用している人は、バコパを使用する前に主治医に相談すべきです。