黒色分芽菌症

執筆者:Sanjay G. Revankar, MD, Wayne State University School of Medicine
レビュー/改訂 2021年 4月
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黒色分芽菌症(chromoblastomycosis)は,数種ある黒色(色素性)真菌のいずれかにより引き起こされる特徴的な皮膚感染症である。症状は露出部位における潰瘍性結節である。診断は病変の外観,病理組織学的検査,および培養により行う。治療はイトラコナゾール,その他のアゾール系薬剤,またはフルシトシンの投与と外科的切除による。

真菌感染症の概要も参照のこと。)

黒色分芽菌症は,主に熱帯または亜熱帯地域において免疫能が正常な健常者に発生する皮膚感染症であり,潰瘍化傾向のある乳頭腫性結節の形成を特徴とする。

黒色分芽菌症は穿通性損傷の部位に発生することが多く,十分な保護効果のある履き物や衣服を着用しない農業従事者で特によくみられる。

黒色分芽菌症は,組織内に硬壁小体(sclerotic body)を形成する暗褐色または黒色の真菌によって引き起こされる。

黒色分芽菌症の症状と徴候

黒色分芽菌症は通常,足または下肢で始まるが,他の露出部位(特に皮膚の損傷部分)に感染することもある。初期にみられるそう痒と増大傾向を示す小丘疹は,皮膚糸状菌症(白癬)に類似することがある。それらの丘疹は拡大して,基底部が硬結した境界明瞭な暗赤色または紫色調の斑を形成する。数週間または数カ月後には,皮膚から1~2mm突出する新たな病変がリンパ流出路に沿って出現することがある。斑の中央部には暗赤色または灰色を帯びたカリフラワー状の硬い結節性の突出物が生じることがあり,感染が治療されない場合,何年もの時間をかけて徐々に拡大して四肢を覆うようになる。リンパ管の閉塞が生じ,そう痒が持続し,さらに二次性に細菌の重複感染が発生し,潰瘍,ときに敗血症を引き起こすことがある。

黒色分芽菌症(初期)
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黒色分芽菌症では,まず小丘疹が拡大して,基部が硬結した極めて境界明瞭な暗赤色または紫色の斑が形成される。
Image courtesy of www.doctorfungus.org © 2005.
黒色分芽菌症(慢性)
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慢性黒色分芽菌症では,赤色または灰白色でカリフラワー状の硬い結節性の突出物が数年かけて形成され,それが拡大して四肢を覆うようになる。
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黒色分芽菌症の診断

  • 病理組織学的検査

  • 培養

黒色分芽菌症の後期病変は,特徴的な外観を呈するが,初期病変は皮膚糸状菌症と誤診されることがある。

メラニンに対するFontana-Masson染色は,本症に特有の所見である硬壁小体(sclerotic body)(Medlar小体)の存在を確定するのに役立つ。原因菌種の同定には培養が必要である。

黒色分芽菌症の治療

  • イトラコナゾール,ときにフルシトシンを併用

  • しばしば手術または凍結療法

抗真菌薬も参照のこと。)

イトラコナゾールは黒色分芽菌症に最も効果的な薬剤であるが,全ての患者で反応が得られるわけではない。再発予防のためにときにフルシトシンを追加投与する。アムホテリシンBは効果的でない。症例報告からは,ポサコナゾール,ボリコナゾール,またはテルビナフィンも効果的となる可能性が示唆されている。

凍結療法などの補助的治療法は,しばしば役立つが,効果が得られるまでに時間を要する。

限局性病変に対して,外科的切除が根治療法である。

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